映画『半世界』は、田舎町で暮らす不惑の40歳手前の同級生3人を描いている。
40歳目前、諦めるには早すぎて、焦るには遅すぎる。
大人の友情と、壊れかけの家族と、向き合えずにいる仕事。
そんなキャッチコピーが、そこここに浮遊する映画だ。
〈story〉
三重の田舎町で、妻初乃、中学生の息子明と暮らし、父親の炭焼き小屋を継ぎ備長炭を売る紘。そこへ旧友瑛介が帰ってきた。自衛官として活躍していたはずの瑛介は、妻子と別れ、心に傷を負った様子だ。中学時代の仲間光彦とともに瑛介を励まそうとするが……。
〈cast〉
高村紘【稲垣吾郎】39歳。田舎町で、炭焼き継ぎ、生業とする。
沖山瑛介【長谷川博己】39歳。自衛隊を退職、離婚し子供とも別れ、田舎に戻る。
岩井光彦【渋川清彦】39歳。親とともに、自動車販売業を経営する。独身。
高村初乃【池脇千鶴】38歳。紘の妻。いじめにあっている息子明のことで悩む。
「半世界」というタイトルからは、「人生半ばに差し掛かった時、残りの人生をどう生きるか」というテーマと、自衛官として広い世界を観てきた瑛介の視点と、田舎町の小さな世界でずっと暮らしてきた紘の視点を、そのどちらもが「世界」であると描いているところ、その両方を感じることができる。
紘の小さな世界には、森から木を切り出し炭を焼く仕事や、妻が作った「バカ」とかかれたお弁当や、ケンカした夜のセックスや、息子が受けているいじめや、旧友と飲む酒や、土地の人たちとの交流がある。広い世界で傷つき帰ってきた瑛介には、それがなかなか理解できない。
わたしは東京に生まれ、今は田舎で暮らしているが、紘の世界の方により共感する。広い世界に目を向けることは大切だとは思うが、小さな世界に目を向けることは、たぶんもっと大切だ。
稲垣吾郎が炭を焼くシーン、迫力ありました。
わかりあえるむかしの仲間っていいな、っていうシーン。
2019年の映画公開時の年齢は、稲垣吾郎46歳、長谷川博己42歳、渋川清彦45歳、池脇千鶴のみが役と同年齢の38歳でした。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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