上の娘が結婚することになり、1泊で上京した。
式は挙げず、ふたりを囲み、彼のご家族とわたしたち夫婦とで夕食をして祝った。
そのことは、いずれかき記しておきたいとは思っているが、今はただ、幸せに暮らして欲しいという穏やかに思うのみだ。
そのディナーまでの時間、「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」へ足を運んだ。
大好きな映画『グランド・ブダペスト・ホテル』の監督ウェス・アンダーソンの世界観を表現した写真展だ。
テーマは、旅。
10の部屋にはそれぞれキーワードが置かれ、観た者のなかにストーリーを起こさせる。
「世界各地の秘密の場所を訪れる人々の旅」を疑似体験できるよう構成したという。
ここに紹介された写真は、ぼくが出会ったこともない人びとが、(わずかな例外をのぞいて)ぼくが見たこともない場所や物を撮ったものだがー実際、ぼくが撮りそうな写真だ。
ウェス・アンダーソンから写真展に向けたメッセージ。
最初の部屋に足を踏み入れた途端、なるほどと納得した。
左右対称というか、微妙にバランスのとれたシンメトリーの美しさには目を見張った。
そして、色。
部屋の壁はどれもインパクトのある色で、その色の持つ存在感に圧倒された。
色というのは、不思議だ。
ピンクひとつとっても、限りなく存在する。
そのなかで部屋の壁も作品ひとつひとつの色もたぶん厳選し、ウェス・アンダーソンの疑似世界を作り上げているのだろう。
インプットされた色たちは、会場を出たあとにも自分のなかに残っていた。
翌日、新宿で買い物をしていて〈どうしてもこの色〉というカーディガンに出会った。水色と薄いグリーンの中間のような色は、〈青磁〉という名がついていた。
壁の色ではないけれど、たぶん作品のなかに同じ色があったのだと思う。
寺田倉庫で開催中です。
ノスタルジックな風景を集めた、ベビーピンクの部屋。
乗り物が旅に誘う、山吹色の部屋。ビッカのケーブルカーもある!
なぜか老眼鏡をかけずとも、すべての写真がくっきり見えました。魔法?
ブルーグレイが静かに揺れる、プールの部屋。
映画『グランド・ブダペスト・ホテル』なイメージの赤い部屋。
ポスターになっていた写真です。
煉瓦の部屋。シンメトリーが際立った作品。
ラストは、ビリジアンの部屋。「WAY OUT」も作品です。遊び心いっぱい。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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