虐待、ネグレクト、いじめ、学級崩壊などの現代社会における問題を描き、2015年に公開された映画『きみはいい子』。
原作は、中脇初枝の短編集『きみはいい子』。
そのなかの「サンタさんの来ない家」「べっぴんさん」「こんにちは、さようなら」の3編からエピソードを抜き出している。
抱きしめられたい。 子どもだって。 おとな だって。
〈story〉
新米教師岡野は、小学4年生の担任。まじめだがどこかうまくいかず、学級崩壊気味だ。近隣に住む雅美は夫の海外赴任中、3歳の娘に暴行を加え続けている。通学路沿いの一軒家で暮らす老女あきこは、認知症の兆しを認めつつ、ひとり誠実に暮らしている。
悪い子だから夕方まで家に帰ってくるなと父親に言われている男子。あきこに朝夕挨拶を交わす自閉症の男子。障害のある息子を必死に育てるシングルマザー。
大人と子供を交え、描かれた群像劇。
〈cast〉
岡野匡【 高良健吾】小学4年を担任する新米教師。
水木雅美【尾野真千子】3歳のひとり娘を虐待する母親。
大宮陽子 【池脇千鶴】雅美のママ友。おおらかな性格の2児の母。
大宮拓也【 高橋和也】岡野の先輩教師。障害児クラスを担当する。陽子の夫。
佐々木あきこ【 喜多道枝】認知初期の不安を抱えるひとり暮らしの老女。
櫻井和美【富田靖子】自閉症の息子、弘也を育てるシングルマザー。
落ちこんだ岡野が幼児を育てる姉のもとへ行き、その甥っ子に抱きしめられるシーンが印象的だった。姉は言う。
あたしがあの子に優しくすれば、あの子も他人に優しくしてくれんの。だから子供を可愛がれば、世界が平和になる。ねえ、母親ってすっごい仕事でしょ。
岡野は、翌日宿題を出す。
「家族の誰かに抱きしめてもらってください」
あきこと仲良くなった弘也の言葉に、ハッとした。
幸せは、晩御飯を食べてお風呂に入ってお布団に入って、お母さんにおやすみを言ってもらうときの気持ちです。
新米教師を好演していた高良健吾。
娘を虐待することがやめられず苦しむ役どころの尾野真千子。
明るいママ友の演技の自然さが、際立っていた池脇千鶴。
自閉症の弘也を、戦争で亡くした弟と重ね可愛がる老女を演じる喜多道枝。
「きみはいい子」いい映画でしたね。
池脇千鶴が特に良かったですね。
子供でも大人でも、ああいう存在が一人でいいから周りにいたら救われる人がどれだけいるかと思いました。無理して群れて、その鬱憤を子供に向ける。
その無理を、池脇千鶴演じるママ友は、感じ取り、掬い取ってくれていましたね。
自分の子育ての時の事も思い出し、印象的な映画でした。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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