映画『すずめの戸締まり』は、原作、脚本、監督の新海誠が、これまでになく東日本大震災をストレートに描いた作品だという。
〈cast〉
岩戸鈴芽【原菜乃華】九州の田舎町で伯母とふたりで暮らす、17歳の女子高生。東日本大震災で亡くした母の夢をよく見る。
宗像草太【松村北斗】”災い”をもたらす扉を閉める「閉じ師」の大学生。呪いをかけられ、すずめの椅子のなかに封じ込められてしまう。
岩戸環【深津絵里】姉を亡くし、姪であるすずめを4歳から育ててきた。漁協で働き、すずめのために毎朝キャラ弁を作る。
ダイジン【山根あん】すずめが抜いてしまった「西の要石」の化身。呪いをかけ、草太を椅子に閉じ込める。
〈story〉
すずめは夏の朝、登校中に見知らぬ青年、草太と出会う。
草太を追ったすずめが”要石”を知らずに抜いてしまったため、災いの扉が開いてしまい、巨大な「ミミズ」が空に流れ出していく。ほかの人には見えないそれが、すずめにははっきりと見えるのだった。
人の心の消えた淋しい場所に、後ろ戸は開くんだ。
その扉を閉めて旅をしていた「閉じ師」草太は、しかし、人の言葉をしゃべる白猫に壊れた椅子に姿を変えられてしまう。草太にかけられた呪いを解こうとふたりは白猫を追うのだが、行く先々で災いの扉が開いていく。
九州から、愛媛へ、そして神戸、東京へ、やがて東日本大震災が起こったすずめの生まれ育った家へと旅していくロードムービー。
新海監督は、東日本大震災が起こってからずっと、強い後ろめたさのような感情を持ち続けているという。「クローズアップ現代」インタビューでは、こう語っていた。
「自分があそこにいてもおかしくなかった」「私があなただとしてもおかしくなかった」といったような紙一重な状況で、それなのに自分はエンタメ映画をつくっているという後ろめたさ。
その感情を持ち続けたまま、自分にしかできないことを考え、エンタメ映画にしか伝えられないものを描こうとしてきた流れのなかで生まれた映画なのだそうだ。
観る方のわたし自身は、エンタメ映画としてだけ楽しんでいいのだろうかという迷いがあったが、そんなふうに迷いながら観るのもまた、よしなのだろう。
椅子になった草太はキュートだったし、懐メロオンパレードには心和んだ。あてのない旅をするのもいいなと何も考えずに思ったりもした。
けれど、「死ぬのは、怖くない」と言い放つすずめに、4歳のすずめが真っ黒に塗りつぶした絵日記のなかに、生きる希望を失った心の闇を見た。
東日本大震災が起こってから、もうすぐ12年になる。
画像は、すべてお借りしました。ベルリン国際映画祭「コンペティション部門」に正式出品が決まったそうです。
なんともキュートだった椅子の草太。
悪者ぶりに、ちょっとムリがあったダイジン。
映画を観た人全員に配られていたオマケ。入場者プレゼント第4弾「小説すずめの戸締まり~芹澤のものがたり~」です。第3弾は「環さんのものがたり」だったんですね。
芹澤朋也【神木隆之介】草太の友人。教師を目指している大学生。
神木くん、あの懐メロは、わざと下手に歌ってたの?
「当事者」ではない芹澤は、観客である我々に最も近しい人物です。だからこそ、彼はあの風景を「綺麗」だという役割を与えられたのです。
新海誠あとがきより
こんばんは。
新海さんのこの作品はあちらこちらで話題になっていますね。
もう200回も見た人もいると聞きました。
宮城に親類がいる我が家、家を流された人がおります。
命が助かっただけでもよかったと言っていましたが、こどもの頃の大切なアルバムも流されてしまったと嘆いていました。
私も見に行きたいな~。
神木君の歌、聴いてみたいな~。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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