マイク・ミルズが監督・脚本を手がけ、モノクロで撮られた映画『カモンカモン』には、最初から惹きつけられた。
突然始まった甥っ子との共同生活。
戸惑いと衝突、想定外から生まれた奇跡の日々。
〈cast〉
ジョニー【ホアキン・フェニックス】ラジオジャーナリスト。独身。ニューヨーク在住。
ジェシー【ウッディ・ノーマン】好奇心旺盛な9歳の男の子。
ヴィヴ【ギャビー・ホフマン】ジョニーの妹で、ジェシーの母親。ロサンゼルス在住。
〈story〉
ラジオジャーナリストのジョニーは、妹が病気の夫の元へ行く数日間、甥のジェシーを預かることになった。独身のジョニーには子育て経験がなく、すべてが驚きと当惑の連続。未経験なだけに、ジョニーは”人と人”としてジェシーに向き合っていくしかすべがなかった。
物語は、ジョニーのインタビューで始まる。
実際に取材した9歳から14歳の子供たちの”声”だという。
今の暮らしについて。国や世界について。孤独とは? 君にとって幸せとは? そして、未来について。
ジョニーは、ジェシーにもインタビューするように接してみたが、「質問されるのは嫌い」とはねつけられる。けれどジェシーは、ジョニーに遠慮なく次々と質問するのだった。
ジョニーには、愛した女性がいたが結婚できなかった過去がある。1年前死んだ母親のことで、ヴィヴとの確執にも悩んでいる。
一方、ジェシーも母親の不在に、不安を募らせていた。そしてたぶん、今の暮らしにも、世界にも、孤独にも、幸せにも、未来にも、ジョニーと心を通じ合わせることができるかということにも。
長年勤めた仕事を引退した今、わたし自身、迷いのなかにいる。
夫とも、子供たちひとりひとりとも、弟や妹とも、母とも義母とも、友人たちそれぞれとも、考え方も感じ方も違う。できるだけ相手を尊重したいと思うけれど、自分自身を尊重していかなければ、苦しくなりやがて壊れてしまう。
そんなわたしに、映画は言っていた。
来た道に、答えはない。もう振り返るのはやめようと。
予告編を、どうぞ。
大人も子供も迷いながら生きてる。君の話を聴かせて。
画像はお借りしました。すべてモノクロ。まずそこに驚きました。
「大人と子どもの物語なので、ある種の寓話性を持たせたかった。リアリティをそのまま描いているのではなく、我々のリアルについての寓話。そういった意図もあってモノクロにしたんだ」と説明。続けて、「実際に白黒で映画を撮ってみると、より色んなことがシンプルになっていった。フォーカスすべき人の顔や表情だったり、佇まいが優しくなっていく実感があって、我ながら気に入ってるんだ」と振り返った。
「カモン カモン」ジャパンプレミア監督インタビューより
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。