ギリシャはアテネを舞台に、高級紳士服を作り続けてきた不器用な男を描いた映画『テーラー~人生の仕立屋』。
〈cast〉
ニコス【ディミトリス・イメロス】高級スーツの仕立て屋を営む、50歳独身。
オルガ【タミラ・クリエヴァ】ニコスの隣のアパートで、夫と娘ヴィクトリアと暮らす主婦。
〈story〉
アテネで高級スーツの仕立て屋を父と共に営むニコスは、無口でこだわりの強い性格。
しかし不況が襲うギリシャで経営を続けるのは難しく、銀行から店の差し押さえの通知が届く。ショックで父が倒れ、入院。
ニコスは、なんとかしようと手作りの屋台でスーツの行商を始めるが、新鮮な魚や野菜を売る市場で高級スーツに見向く者はいなかった。
ある日、知らない女性に声をかけられる。
「娘の結婚式用のウェディングドレスは作れる?」
思わず作ると言ってしまったニコスは、隣に住む主婦オルガとおしゃまな娘ヴィクトリアに手伝ってもらい、女性服の仕立てを学び始めるのだが。
映画のプロローグを観ていただけばわかると思うが、映像のかっこよさに衝撃を受けた。
色使いの鮮やかさ。その切り取り方。ひとつひとつが洗練されている。
そして、スーツの仕立てはプロだが、生きることに関しては不器用なニコス。
彼が、一針一針スーツを仕立てていくように、丁寧に人と接して、一歩一歩進んでいくさまに気持ちが明るくなっていった。
「丁寧」という言葉には「相手に対する振る舞いに真心がこもっているさま」という意味合いもあるという。
まさに、彼の振る舞いにはそう感じさせられるものがあった。
ギリシャ国内で絶賛されているだけではなく、イタリアの「ベルガモ・フィルム・ミーティング」で最優秀監督賞&観客賞をダブルで受賞。
海外メディアから「一歩踏み出すのはいつだって遅くないと教えてくれる感動作」と賞賛されているという。
アテネ中央市場、下町っぽい街並み、エーゲ海のピレウス港などギリシャの風景も楽しめる美しい映画だった。
主人公ニコス。かなりコミュ障っぽく、あるいは発達障害のようにこだわりが強く描かれたキャラクターでした。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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