きのう一昨日と、小春日和が続いた。
金曜には、手話教室にセーターを着て行ってしまい、汗をかいた。
夕刻にも、風もなく気温もそう下がらず、上着は必要なかった。
久しぶりに『空の名前』を開いた。「小春日和」のページを開く。
【小春日和】
陰暦十月の異称で、陽暦では十一月から十二月上旬になります。この頃はもう寒くなり、風が冷たく感じられます。ところがこの時期に、暖かで穏やかな、まるで春を思わせる陽気になることがあって、これを小春日和と呼んでいます。
また、ドイツでは「老婦人の夏」、イギリスでは「セントマーチンの夏」、北アメリカでは「インディアン・サマー」と呼ばれるとあった。
日本では「小春日和」と呼び、「春のような」という意味合いで使われる言葉だが、海外ではみな「夏のような」となっているのが、ずっと不思議だった。
日本特有の曖昧さや風情に美徳を求める文化と、海外の国々でのきっぱりとしたわかりやすさを優先する文化との違いだろうかなどと勝手に考えていた。
しかし、そうではなかった。『空の名前』に種明かしが載っていた。
「春」といわないのは、緯度の高い国の春はまだ寒くてむしろ夏の方が快適な季節だからです。
なるほど。文化ではなく、違ったのは緯度だった。
ぼんやりとだが、長く抱えていた「インディアン・サマーの謎」は、解けた。
知らなければ、勘違いしたままだった。
それでもやはり、「小春日和」という呼び方がいちばん好きである。
なんとも風情がある。
金曜日、夕間暮れの南アルプス連峰。
雲を立ち上らせているかのような、鳳凰三山。
アサヨ峰と甲斐駒ヶ岳。
鳳凰三山とアサヨ峰のあいだに、陽が落ちるのかな。
北を向くと、八ヶ岳は、静かにたたずんでいました。
まるで、輝く南アルプス連峰の様子を眺めているかのよう。
名残惜しかったけれど、夕餉の支度に帰りました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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