今年も、オオムラサキが飛んできた。瑠璃色が美しいオスである。
洗濯物を干しているときに、目の端に舞う青い蝶が見え、もしかするとと思っていた。
ウッドデッキに置いた瓶の影で、涼んでいる。
こっそり近づいて写真を撮るが、なかなか羽を広げてくれない。
「どうして、なかなか羽を開かないんだろう?」
ということで、調べてみた。
蝶のなかでも、アゲハチョウ科は羽を広げて休むタイプだが、オオムラサキはタテハチョウ科に属していて、羽を閉じて休む性質なのだそうだ。
ああ、と合点したのは、瑠璃色の美しい羽は閉じたときには見えず、休んでいるときに見えるのはクリーム色や黄色の花にも似た色合い。きっと、休んでいるときには地味な姿で目をくらまし天敵から身を守るように進化したのだ。
羽を閉じると地味なのは、考えてみればルリタテハやキタテハ、ウラギンシジミなど。シジミチョウもタテハチョウ科に属するらしいから、羽を閉じて休むのだろう。
蝶にも、いつも美しい姿を見せる蝶と、うちに隠している蝶とがいるということだ。
ウッドデッキに飛んできたオオムラサキは、何度か羽を開き、美しい模様を見せてくれた。
ぶじにパートナーを見つけて、来年も美しく舞う姿を見せてくれますように。
日陰で涼んでいるように見えました。
あ、開いた。
すぐにまた、羽を閉じて。
開いた! しばらく、ここにいました。
その後、2階のベランダに干した布団カバーにまた、しばらくとまっていました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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