「空が、きれい」
玄関で娘が、ふっと空を見上げた。
つられて、空を仰ぐ。
「ああ、ほんとだ。東京の空とは違うでしょう?」
「違うねえ」
「もうすっかり、秋の空だね」
夏ならではの霞んだ水色ではなく、濃く青い空が広がっていた。
娘にとっては、何年かぶりに過ごす明野で、移りゆく季節も新鮮に感じるのだろう。
逆にわたしには当たり前になっていて、気づかずにいることも増えている。
娘に言われなければ、空の色の変化すら見過ごしていた。
その日の夕方、夫が庭の桔梗を摘み、花瓶に活けた。
紫色の、もう10年以上も前にお向かいの方にいただいた苗が毎年咲いていて、それが突然白い花を咲かせたという。
雑草の蔓に絡まれて倒れて咲いていたその桔梗を、かわいそうに思い摘んだようだ。
仕事を引退して、今月で1年になる夫もまた、こうして毎日庭を眺め過ごす日々に季節を見つけ出すのが新鮮なのだろう。
わたしより、ずっと長い時間、庭にいる。
彼が見つけなければ、空と同じく白い桔梗も見過ごしていたやもしれぬ。
新しい目を持つ同居人たちに、季節を教えられる日々である。
玄関前の駐車場から見た我が家と、森の赤松。
駐車場脇の山桜と空。
少し角度を変えて。
屋根の上の空。
家の前の道路から見た鳳凰三山。
山も、秋の顔をしているかのようです。
夫が摘んできた庭の桔梗です。紫と白のコントラストが鮮やか。
こんにちわ
あら、本当に雲がすでに違いますね。そちらでは、秋が少しづつ少しづつ近いづいてきているのですね。
東京の空と違う・・って感じられる娘さんの感性もいいですね♪
もうすぐ、お盆ですね。
お盆過ぎると、こちらも、ああなんだか・・って思います。
たいてい20日ごろでしょうか。帰り道の微妙な日の照り方が違うなあって感じるんです。
ツートンの桔梗。可憐ですね。
うちの庭の桔梗も咲いてはいたんですが、写真を撮ってあげることもなく、気がつけばしなっとなっていました。
それほどに、慌ただしい日常でした。いけませんね・・・。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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