日曜日、川俣川東沢渓谷の『吐竜の滝』へ出かけた。
日本名水百選のひとつ「八ヶ岳南麓湧水群」が集まって流れる渓谷で、そのなかでも季節ごとに美しい顔を見せてくれるのが『吐竜の滝』だ。紅葉の季節、結氷の季節などニュースでは見たことがあったが、実際に見てみようと足を運んだ。
岩間からいく筋も流れ落ちる緑と融合した滝は、たしかに竜が水を吐きだしているかのように見える。涼やかで気持ちのいい場所だった。
しかしそれ以上に、渓谷道をむせ返るような緑のなか、ゆっくりと散策した。それが思いのほか愉しかった。植物の形が、いつも歩いている町内のそれとは、少しずつ違っているのだ。
庭に咲くタチツボスミレのお仲間のエゾノタチツボスミレを見つけたり、よく見かけるマムシグサの緑バージョンが咲いていたり。
舞ってきた蝶に目をやれば、それも見たことのあるような、しかし初めて見る蝶だった。あとで調べてウスバシロチョウだとわかった。アゲハの仲間で、年2回羽化するのが普通の蝶のなかでも珍しく、春にしか羽化しない蝶なのだそうだ。
「同じ市内でも、こんなに違うんだ」
野の花が咲き、蝶が舞う自然豊かな里山で暮らしているわけだが、一歩山へと踏み出せば、また違う世界が広がっている。渓谷沿いの道であることもそうだが、標高でも違ってくるだろう。
忘れた頃に、不意に思い知らされることがある。
自分の知っていることなどほんの一握りの知識であり、知らないことのほうが宇宙の広さくらいいっぱいに広がっているのだと。
翅の薄い蝶に、可憐な白いスミレに、また我に返った。
ウスバシロチョウです。
花を探しているのか、くるくる回っていました。
ウツギの種類だと思います。
マムシグサの緑バージョンは、初めて見ました。
エゾノタチツボスミレ。
クルマムグラは、どれもまだ蕾。たくさん見かけました。
☆『地球の歩き方』特派員ブログ、更新しました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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