すぐ近くの道沿いのヤマツツジが綺麗だと聞いて、通ってみた。
想像を超える花の多さに、思わず歓声を上げた。まさに満開だった。
名所でも何でもない場所だが、丹精込めて育てている人がいるのだとわかる。
ため息をつき、しばし眺めて所用を足しに立ち去ろうとしたとき、夫に呼び止められた。
「これ、タチツボスミレ?」
「わっ、すごい」
まったく気づかなかったのだが、ヤマツツジ下の草地には、フデリンドウが群生していた。
「フデリンドウがこんなに咲いてるの、初めて見た。可愛い!」
初めて見たもなにも、フデリンドウに遭遇したのはたったの3回だけ。踏んでしまいそうな山道や堰沿いの道にポッとひとつだけ咲いているのを見つけ、その可愛らしさに目を細めた。
そのフデリンドウが20株以上咲いている。
越年草であるフデリンドウは、花を咲かせるのは一度だけで、次の年には種を落として枯れてしまう。こんなふうにたくさん咲かせるのは、さぞ大切に育てているということだろう。
ちなみにヤマツツジの代表的な花言葉は「燃える思い」で、フデリンドウは「高貴」「誠実」だそうだ。
不思議な取り合わせであるが、いつもは通らないこの道を通って良かった。
カーブに沿って、ほんとうにたくさん咲いていました。
ヤマツツジの赤は、明るい気持ちになる優しい色ですね。
振り返ると、坂道の上の方もこんなに咲いています。整備している人が丹精込めていることがわかりますね。
上の写真ではわかりませんが、ヤマツツジ下の場所にフデリンドウが群生していました。
夫が訊いてくれなかったら、気がつきませんでした。たしかにうちのタチツボスミレたちと色が似てる。
これは以前堰沿いの道で見つけた子です。蕾が、ほんと筆のよう。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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