我が家は明野町のなかでも、茅ヶ岳に続く傾斜の中腹、標高は600mほどのところ。
ここから車で7~8分上ったところに、桜の巨木がある。
名もない一本桜だ。
ここは明野の水源にあたる場所で、「水源の桜」と呼ぶ人もいる。
樹齢は、どのくらいなのだろう。
ここに越してきた22年前の春にも、きっと咲いていたのだとはわかる。もっと前から、わたしたちを見ていたはずだ。
「水源」というワードから、イメージする。
人間が、地球にしてきた間違ったことを。
一本桜のなかには、茅ヶ岳から流れてきた清水が脈打っている。
その桜を見上げたそのとき、時が止まった。
そして、閃いた。
これまで、失くしたもの。壊したもの。傷つけたもの。汚したもの。それは、もとには戻らない。
だからこそ止まったこのときから、何もかも白紙にして、再スタートすればいいのではないかと。
大切な人と、仲違いしている人も。
家族や恋人と、些細な行き違いがあった人も。
もちろん、地球の環境を守ろうと活動している人も。
それから、戦争を始めた人も、それに関わらずにいられなかった人たちも。
桜咲くこの季節に何もかも白紙にして、どうすればもっともいい方向に進めるか。今すべてをフラットにして考えてみてはどうだろう。
目をつぶって、何もかもを忘れて、最初に思いついた大切なことに目を向けて。
到着。東の空を背にした様子です。
東側から振り返ると、南アルプス連峰が見渡せる絶景スポット。甲斐駒ヶ岳がくっきり。形も観る方向によって変わって見えますね。
さらに離れてみたら、南アルプス連峰がまるごと望めます。ジムニーを停めたところに、天高く伸びたカラマツの松ぼっくりがいっぱい落ちていました。
鳳凰三山が、一本桜を見下ろしているかのよう。
八分咲きくらいでしょうか。南側はほぼ満開でした。
足下には、八重咲きの水仙が揺れていました。整備する人がいて、水仙を植える人がいてこその桜の美しさなんですね。
トイレに飾ったカラマツの松ぼっくり。小さくて可愛い。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。