毎朝、6時半に起きる。
夫が退職し、彼が決めたルールだ。
規則正しく暮らしたいと考えてのことだろうと、わたしも受け入れた。
その朝6時半、ベッドから八ヶ岳が見える。
まだ北側の大窓にカーテンをかけるほどは寒くなく、そんな朝の贅沢を味わっている。
その八ヶ岳が、赤いのだ。
朝焼けは、悪天候の兆候と聞いたことがあるので、今日は雨が降るのかと思えば、このところ小春日和な晴天が続いている。そして、八ヶ岳は毎朝赤いのである。
この日は日の出が6時12分だった。顔を出したばかりの太陽に照らされて、赤く染まるらしい。
そして、その日の昼。
八ヶ岳が黒く見えた。
空は青く晴れていて、八ヶ岳のうえには白く大きな雲が浮かんでいた。
その雲の影が、山を黒く見せていた。
場所、季節、時間、そして雲ひとつでも山は表情を変えていく。
以前、遠くの山は青く見える理由を知った。
簡単に言えば、山との距離が遠ければ遠いほど、そのあいだに空気があればあるほど、空気中の青い光が目に入ってくるという仕組みだ。
だから、八ヶ岳は青く見える。
しかし、朝の八ヶ岳を見て、西の窓からかすかに見える南アルプス連峰を見て、思う。
南アルプスの方が、断然青い。八ヶ岳は、南アルプスよりずっと近くの山なのだと。
早朝の八ヶ岳。赤く見えるのは少しのあいだだけです。
肉眼では、もっと赤く見えるんだけどなあ。
昼、雲のしたが黒く見えた八ヶ岳。
これも肉眼では、真ん中辺の影がもっと黒く見えました。
やたらと青く見えた10月の八ヶ岳。
そして、冴え冴えと青い10月の南アルプス連峰。
真っ白に雪化粧した1月の八ヶ岳。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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