東京へ行った際、上野の東京都美術館に立ち寄った。
「印象派モネからアメリカへ~ウスター美術館所蔵」を観に行きたかったのである。
「海を越えて咲いたもうひとつの印象派」と題し、アメリカのボストン近郊にある「ウスター美術館」所蔵の絵画を中心に、印象派がヨーロッパ国内や、海を越えたアメリカへも大きく影響していった軌跡をたどる展覧会になっている。
「ウスター美術館」は、開館当初から印象派の作品を収集していて、1910年にはクロード・モネの「睡蓮」を世界で初めて購入した美術館だという。
その「睡蓮」はもちろんのこと、購入までのやりとりの文書も展示されていた。
モネの「睡蓮」は、これまでも何度か目にしてきたのだが、こんなにくっきりと目に焼きつくように見えたのは初めてのことだった。
穏やかな水の上で咲く睡蓮の花、瑞々しく広がる葉、その水面には、空や周囲の木々が映り込み、太陽の光がまぶしく射込み、あるいは木漏れ日となって揺れている。
ひとつには、クロード・モネの人物像がわたしのなかでひとりの人間として浮かび上がっていたからだと思う。
ちょうど、原田マハ『ジヴェルニーの食卓』のモネの章を読んだばかりで、どんなに普段の暮らしを、家族や食事を大切にしていたか、庭造りに心を傾けていたか、晩年白内障に苦しみ、そのなかで葛藤に堪えつつ睡蓮を描き続けていたか、を目にしたような気持ちになっていたのである。
無論フィクションなのだが、キュレーターだった著者は史実をもとに描いているだけあり、リアリティが半端なく、すべてを信じてもいいように思えた。
特別美術に造詣が深いわけではないわたしには、小説から読み解くようにアートを観ていくくらいがちょうどいいのかもしれない。
「東京都美術館」です。この展覧会は、明日7日まで。行けてよかった。
撮影スポットがいくつかありました。チャイルド・ハッサム「花摘み、フランス式庭園にて」。
真ん中の幌馬車の絵、チャイルド・ハッサムの「コロンバス大通り、雨の日」に、とても惹かれ、行ったことのないコロンバス大通りに立っているかのような錯覚に陥りました。
ナビゲーター鈴鹿央士は、下の絵「ハーミット・クリーク・キャニオン」に感動していました。5人の画家を目隠ししてグランドキャニオンに連れて行き、その場で描かせたというエピソードがあるそうです。
今、読んでいる原田マハの『ジヴェルニーの食卓』。モネとマティスを読み終えて、ドガとセザンヌを残しています。
☆『地球の歩き方』山梨特派員ブログ、更新しました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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