久しぶりに『翻訳できない世界のことば』を開いた。
これまでも、何度か紹介してきたイラストブックだ。
☆シミルボンサイトで連載中【世界の言葉に恋をして】
ページを捲っていくうちに、今のわたしにひっかかったのは、ヒンディー語の「JUGAAD~ジュガール」だった。意味は、こうだ。
最低限の道具や材料で、とにかくどうにかして、問題を解決すること。
著者のエマは、こう記している。
ささやかな発明やくらしの知識が、日々の小さな問題を解決していきます。
ときには、ルールをちょっぴり曲げる必要があるかも。
みんなの想像力や即興的な力が、発揮されるのです。
問題の解決の仕方は、そのひとつひとつによって違う。
わたしはわりと、JUGAAD寄りのやり方をして生きてきた。今もそれは、得意分野である。けれど、大人になって知る。解決しない方がよい問題もあるのだと。
なにかを相談されたとき、こうした方がいいのでは? と答えを導くことだけが大切なのではない。
ただ耳を傾けることの方が、重要になるシーンがある。あるいは、導かない方がいい、というケースもある。
それを苦く思いながら、JUGAAD的なやり方がじつは好きだと再確認する。
人は、単純ではない。それはわかっているのだが、その複雑さをうまく消化できず、やり過ごすことすらできない自分を知っている。
だからこそ、シンプルに最善のやり方を探す「JUGAAD」に、惹かれるのだろう。
ヒンディー語の「JUGAAD~ジュガール」。
イディッシュ語の「TREPVERTER~トレップヴェルテル」。
あとになって思いうかんだ当意即妙な言葉の返し方。
これ、あるなあ。
ハワイ語の「AKIHI~アキヒ」。
だれかに道を教えてもらい、歩き始めたとたん、教わったばかりの方向を忘れたとき、「AKIHIになった」と言う。
あるある~
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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