ぼんやりとページを捲っていた。
『翻訳できない世界のことば』は、そんなふうに楽しめるイラストブックだ。
生と死の自然のサイクルを受け入れ、不完全さの中にある美を見出すこと。
ほう。そんな言葉があるんだ。何語だろう。
そう思ってよくよく見ると、日本語だった。
WABI-SABI(わびさび)侘び寂び
著者エラは、こう綴っている。
仏教の教えがルーツにある日本のこの考え方は、不完全で未完成であるものに美を見いだす感性です。うつろいと非対称性をくらしのなかに受け入れるとき、わたしたちはつつましく、満たされた存在になりえます。
そもそもこれまで「侘び寂び」の意味を深く知ろうとしたことがなかった。
「侘び」=つつましく、質素なものにこそ趣があると感じる心
「寂び」=時間の経過によって表れる美しさ
時の経過とともに汚れたり欠けたりしていくものを劣化と捉えず、時がもたらす変化と捉えて肯定し、美を見出す日本人特有の美意識。
若き外国人女性から見た、ひとつの外国語である日本語の「侘び寂び」。
このイラストブックを捲り、それが日本人特有のものなのだと初めて知ったのだった。
「世界を旅するイラストブックシリーズ」の1冊目。
WABI-SABI(わびさび)
YA’ABURUNEE(ヤーアブルニー)アラビア語
直訳すると「あなたが私を葬る」。その人なしでは生きられないから、その人の前で死んでしまいたい、という美しく暗い望み。
WARMDUSCHER(ヴァルムドゥーシャー)ドイツ語
冷たい、または熱いシャワーをさけて、ぬるいシャワーを浴びる人。「少々弱虫で、自分の領域から決して出ようとしない人」を言う。
MERAKI(メラキ)ギリシャ語
料理など、なにかに自分の魂と愛情を、めいっぱい注いでいる。
サラは、こう綴っている。
精一杯につくせば、結果はよいものとなります。小さなことにでも情熱を注ぐことに価値をおくのがギリシャの文化です。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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