台北3日目は、康青龍(カンチンロン)を歩いた。
ランチに小籠包を食べようと『鼎泰豊(ディンタイフォン)』を予約していたのだ。「康青龍」とは『鼎泰豊』のある永康街(ヨンカンジエ)と閑静な住宅街が続く青田街(チンティエンジエ)と学生でにぎわう龍泉街(ロンチュアンジエ)を合わせたエリアを呼ぶのだそうだ。
わたしは、永康街の行きたい雑貨屋を2つほどチェックしていたので、午前中からゆっくりと歩いた。雑貨にはあまり興味がない夫をつきあわせる形だが、彼も知らない街を歩くのは嫌いではない。そして何と言っても、方向音痴のわたしの地図代わりになってくれる頼もしい相棒なのである。
「シノワズリって言って、中国風のモチーフや色使いをアレンジした雑貨で、台湾では、牡丹の花の模様が伝統になってるらしいよ」
わたしが説明すると、夫が「へえ」と言う。
ガイドブックにかいてあったそのまんまなのだが、彼はシノワズリや牡丹には興味がなかったらしい。
雑貨屋を満喫した後は、青田街へ。道々、きょろきょろしながら言い合う。
「あ、このお店、ガイドブックに載ってたね」「そうだっけ?」
「この辺りには、日本人の家が多かったみたいだね」「そうなんだ?」
同じガイドブックを見て、同じ場所に来ているというのに、ふたりの知ってることはてんでバラバラで、それが何ともおもしろい。そして食べ物のページだけは、ふたりともしっかりチェックしているところも。
夫は、台湾を日本が長く統治していたことや中国との関係など、わたしが知らないことを教えてくれた。わたしは、雑貨関係の知識をわずかだが披露した。
視点が違うことって、悪いことばかりじゃない。ふたりの視点を合わせて見えてくることだってあるはずだ。ひとり旅もいいけれど、ふたり旅もまたいい。
青田街では、ふたりとも知らなかったお茶の淹れ方を教えてもらった。台湾茶初体験だ。お茶はやっぱり、誰かと飲む方が美味しいとあらためて思った。
『一針一線』というこだわりの雑貨屋さん。
中国少数民族チャン族伝統の刺繍を活かしたシノワズリ雑貨がいっぱい。
ゆっくり見て歩きました。綺麗。地下にはお土産小物のコーナーも。
永康街で、おススメの雑貨屋さんです。
こちらは青田街のお茶屋さん『青田茶館』
涼しげなお庭。日本人のお家だったそうです。
本格的に、台湾茶を淹れてもらいました。
夫は高山烏龍茶、わたしは東方美人茶にしました。
2杯目からは、教えていただいた通りに、自分で淹れます。
うーん。ゆったりした気分。落ち着く―。
心静かに、穏やかに、時間が流れていくのを感じました。
小籠包の人気店『鼎泰豊(ディンタイフォン)』も永康街にあります。
店の前には20分待ちの表示。待つ人であふれかえっていました。
予約していって、よかった。相席でしたが待ち時間なしでした。
5個ワンセットで、ふたりで3種類15個オーダーしました。
醤油とお酢につけた針生姜と一緒に、レンゲでいただきます。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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