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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

九份で見た風景

2日目は、台北近郊の九份に行った。
昔は、不便な山の上にある9世帯だけの集落で、食材日用品はいつも九份(9つ分)まとめて調達していたそうだ。そこから「九份」の名がついたという。
それが、ゴールドラッシュに沸き、金鉱が渇いた後、台湾映画『非情城市』のロケ地として観光の芽が花開く。『千と千尋の神隠し』の湯婆婆の店「油屋」に似ているとの評判も広がり、今では一大観光地となっている。

 

山の急斜面を利用した観光商店街は、屋根つきのアーケードになっていて強い陽射しにさらされることなく散策できる。前日、夜市を梯子し、所狭しと店が並ぶさまにも少し慣れ、落ち着いて歩くことができた。昼過ぎに着いたのでお腹は空いていたが、露店で食べず、ガイドブックにあった『芋仔蕃薯』というレストランでゆったり食べようと決めていた。
だがそれが、なかなか見つからない。
「他の店でも、いいんじゃない?」
延々と続くアーケードを歩きながら、わたしが言ったとき、夫が見つけた。
「これだ」
それは、石造りのトンネルの入口で、人ひとりやっと通れるほどの細い穴だが、確かに『芋仔蕃薯』へ案内する道しるべがある。
「ほんとに、この先にあるの?」
しかし、つい聞きたくなってしまうほど、細いトンネルが続く。
「着いたあ」
店に着いたときには汗だくになっていた。だが店に入り、テラス席に通されたとき、その汗は吹き飛んだ。
「すごい。海が見える」「気持ち、いい!」
その海の広がる果てしない風景を見たときに、思った。アーケードは楽しく歩いたが、自分でも気づかぬうちに閉塞感に息が詰まっていたのだと。

 

その場所にいるときには、気づかないことがある。
今立っている場所にいて、いいのだろうか。そう問い続けることが、そして外へ出て違う風景を目にすることが、きっと大切なのだ。
九份で見た風景に、そんなことを思った。

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天井つきのアーケードになっています。いろんなお店があるー。

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あ、このチャイナブラウス、可愛い! 雑貨屋さんもいっぱい。

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手作り海老団子のお店もありました。

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フライにするんだね。美味しそうだったけど、我慢しました。

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アイス珈琲のお店もありました。「氷滴」の文字に涼みました。

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タロイモが特産のようで、タロイモ餅を入れたぜんざいが名物。
かき氷の上に餡子をかけて、その上に何故か熱々の餅をのせます。

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あった! 『芋仔蕃薯』

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トンネルを抜けると・・・わーっ、海が見える!
食事したテラス席からの風景です。風が通って涼しかった。

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お料理も最高でした。やわらかいお味の中華料理って感じ。
日本語の上手な女性が、メニューの見方を教えてくれました。

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店のなかには、骨董品のようなものがいっぱい並んでいます。

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『芋仔蕃薯』に入るところの道が『千と千尋の神隠し』似の場所。
台湾映画『非情城市』のロケ地でもあります。

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見下ろしても「油屋」っぽい。ジブリグッズ売ってました。
『千と千尋』のロケ地だとたどたどしい日本語でいう人もいました。
でも、アニメにロケ地はないから(笑)

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会社のメンバーにお土産をと入った、素敵なお茶屋さん。
気持ちもお腹も満たされて、ゆっくり試飲しつつ買い物をしました。

PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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