美容室にいってから半月が経ち、前髪が伸びてきた。
行きつけの美容室で切り方を教わり、ピントでのひと月の旅では、二度、自分で前髪を切った。ひと月というスパンをやりきるために、必要だと考えていたのだ。
だが日本に帰ると、そんな緊張感はすっかりなくなり、伸びたら伸びたでいいやと惰性に任せている。
ピントでは、爪も小まめに切っていた。特に足の爪はトラブルが起きないよう少し伸びるたびに切っていた。今は、伸びた爪をぼんやり眺める余裕がある。
余裕というよりは、怠惰だ。
伸びた前髪を鏡で確認しつつ、ペドロとのやりとりを思い出した。
「髪を切って、すっきりしたね。素敵だよ」
Google翻訳で、ペドロに伝えると、彼は肩をすくめ苦笑いした。
「仕事が立て込んでいて、なかなか散髪にいけなくてさ。彼女に言われたよ。その狂った教授みたいな髪、どうにかしたらって」
狂った教授か。思い描いたのは、映画『バックトゥザフューチャー』のドクだったが、スペイン人の彼らにはまた違うイメージがあるのかもしれない。
そんなことを思い出しつつ、ペドロがプレゼントしてくれたスカーフにアイロンをかけた。
さまざまな色が混じり合った、夕焼け色のスカーフ。
ペドロの髪も、たぶんまた伸びているはずだ。

ピントでのラストナイトに、ペドロがプレゼントしてくれたスカーフと帽子。どちらもとても好みで、わたしのことをわかってくれていたのだなあとうれしくなりました。

こんなふうに、首に巻いて使っています。

ピント、ラストナイトの夕焼け。

アパートのベランダから見た、満月と花火。ペドロはきっと相変わらず、忙しく写真館でピントの人たちの写真を撮っているんだろうな。
素敵な思い出とプレゼント。
さえさん、またピントに行くんだろうな~。
地震大丈夫でしたか?
それを書こうと思ってぬ的なスカーフに見とれてしまいました。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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