甲斐市にある「山縣神社」へお参りに行ってきた。
江戸時代に活躍した大学者、山縣大弐を”学問の神様”として祀った神社だ。
あらゆる学問を学び、27歳のときには、医者をしながら人々に学問を教えていたという。すべての人に学ぶ環境が整っていなかった時代のことである。
大弐の著書『柳子新論(りゅうししんろん)』には、政治、経済、身分等についてかかれている。
世の中の秩序はきちんとすべきである。しかしあまりきっちりと作りすぎるとひずみが出てそこに不正が入り込みやすくなる。物事や人間には自然な部分があって良い。
真面目な人柄だったそうだが、杓子定規にならず、人間というものを深く考え、捉えようとしていたことがわかる。
本来、人には身分の区別は無いが、才能や職業によって必然的に色々な区分が出てくる。大事なのは人間同士がおたがいに敬う気持ちを持つことである。
この『柳子新論』は、幕末に活躍した吉田松陰にも影響を与えたといわれている。
人としての在り方を真剣に考えていた大弐は、強い正義感を持った思想家でもあった。
最期は、倒幕陰謀を企てたと事実無根の嫌疑をかけられ、死刑に処されたそうだ。
言論の自由が憲法で保障されている現代に、大弐が生きていたのなら処刑されることもなかっただろうに、と考える。
そして、大弐のような人がいたからこそ、今の時代があるのだとも考える。
それなのに、言論の自由を笠にネットに好き勝手かき込みをしたり、それを真に受けて広めたり、嘘の情報を流したり、理由なく人を傷つけたり、追い込んだり。大弐には想像もつかない社会が、今ここにある。
学問の神様に、静かに手を合わせた。
どうか、人が人を傷つけない平和な世のなかになりますように。
国道20号から、少し入った住宅街に「山縣神社」はあります。
鳥居も手水舎も、国の登録有形文化財だそうです。
街中にあって、深い森をイメージさせる木々たち。
伊勢神宮の古材を譲り受けたという、とても立派な拝殿。
拝殿も本殿も、国の登録有形文化財です。
山県大弐の像。見ているこちらも背筋が伸びそうなくらいまっすぐ立っています。
☆『地球の歩き方』北杜・山梨特派員ブログ、更新しました。
【学問の神様~山縣大弐を祀る「山縣神社」伊勢神宮の古材を譲り受けた拝殿にお参りしました】
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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