ウンブリア州には、独特のパスタがある。
ウンブリチェッリ(Umbrichelli)と呼ばれる太い手打ちパスタで、そうとは知らずオーダーして驚いた。
「?! 食べたことない食感!」
「焼きうどんにも、似てる感じ。でも違うね」
「吉田のうどんほどは、硬くないし」
「太麺なのに、きのこの風味がしっかりしみこんでる」
田舎の味というのだろうか。たぶんウンブリアでは、マンマの味として受け継がれてきたパスタなのだろう。おもしろい体験だった。
その店は30年以上続く家族経営の老舗で、サーバントの男性がとても素敵な人物だった。
イタリア人の年齢はよくわからないけれど、アラ還のわたしたちよりは年上だと思われる。
受け答えがていねいなだけじゃなく、茶目っ気があるというか、エスプリが利いているのだ。
たくさん食べられないわたしたちは、アンティパストもパスタもメインもすべてシェア。一品ずつオーダーしたのだが、まずパスタの皿をどちらですか? と一瞬訊くようなそぶりをして、すっとわたしのまえに置いた。一瞬おいて、3人で笑った。それをメインでも同じようにしてくれて、また3人で笑顔になる。
ちょっと間違えれば、ひとりひとりコースをオーダーしないことへの嫌みかとも捉えられがちなシーンだが、タイミングと笑顔で温かな笑いへと導く。素晴らしかった。
外食することが多い旅のなか、お店は人だと実感する。
どんなに料理が美味しくても、それを出す人の態度が悪いと台無しになる。
それはお店だけじゃなく、旅するわたしたちの方にも言えることだ。
彼は、ウンブリアの田舎パスタの温かさとともに、そんな当たり前のことをあらためて教えてくれた。
「BUCA.DI.S.FRANCESCO(ブーカ・ディ・サン・フランチェスコ)」です。
石造りのアーチが、中世の雰囲気を醸し出している店内。
びっくりするほどカラフルで、盛りだくさんのアンティパスト。
そして、店の名前がついたBuca風スパゲッティ。きのこと豚肉。ウンブリチェッリがもちもち!
メインは、焼きクレープにしました。
なかにチーズと牛肉、ベーコン。あとは何が入っていたんだろう。めっちゃ美味しかった。
テラス席には、葡萄の木? それにしては幹が太いかな。
アッシジを街歩きして見かけた風景です。
家々の石造りの雰囲気が、オルヴィエートとはまた違って素敵でした。
ホテルの窓から。鳩? トサカみたいに頭の後ろ跳ねてて、外国人ならぬ外国鳥に見えます。
「サンタ・キアラ教会」前の広場から見下ろした夜景です。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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