ラストナイトの南稚内の夜。
ホテルで食事をとった後、飲みに行こうという話になった。
JR南稚内駅周辺には、居酒屋やスナックが軒を連ねている。
「ちょっとウイスキーが飲めるバーがあれば、いいんだけどな」
夫が、そう言ってスマートフォンで検索するが、どの店も詳細までは出てこない。とりあえず、夜の散歩に繰り出した。
「人っ子ひとりいないって、こういうことを言うんだね」
口をついて出た。歩いている人影はまったくなく、時折通り過ぎるのは車ばかり。
ふらふらとただただ歩き、なんとなくJR南稚内駅まで行ってみる。
駅舎には、同じ年頃のご夫婦らしきふたりがいた。
次の電車を待つふたりもまた岐阜から来たという旅人で、稚内に宿泊していてここ南稚内まで飲みに来たという。
「ホームに、入れないんですか」
「時間になったら、駅員さんが開けてくれるらしいです」
「この時間で、切符の販売もしていないんですね」
まだ19時半を回ったところ。だが自動販売機すら、18時までとある。
「そうなんですよ。でも切符は買ってあるのでだいじょうぶです」
行く当てもないので、電車を待ち、ふたりを見送ることにした。
ほどなくして駅員さんが登場。
一両編成の電車に乗るふたりに、笑顔で手を振る。
袖ふれ合うも多生の縁だ。
「小海線と、雰囲気が似てるな」
そんなことを思いながら、稚内の夜は更けていった。
JR南稚内駅のホームです。
一両編成の宗谷本線。
ふたりが待っていた駅舎です。
普通旅客運賃表は、漢数字でした。
電車が走り去った後、駅員さんが時刻ボードを入れ替えていました。
稚内の「副港市場」です。娘にお土産を買いました。
規模は小さかったけど、見て歩くだけで楽しかった。
宗谷岬からは、遠くサハリンが見えました。7月に、サハリンがくっきり見えるのは珍しいそうです。
遠浅なんですね。サギかな? 鳥たちが海の上に立っていました。
バスの車窓から見た、宗谷岬名物になっている風力発電。
利尻富士は見られなかったけど、サハリンは見えたねという共通の思いを胸に帰りの飛行機へ。
なんと、機内から利尻富士が! 大歓声が上がりました。
☆【利尻島・礼文島・宗谷岬 4日間】の旅は、これでおしまいです。読んでくださってありがとうございました。
こんばんわ
最果ての島の旅、楽しく拝見しました。
空気のひんやり感が伝わってきます。
お花、私が信州で見た花と似たお花がたくさんありました。
足元に咲く花、いとおしいですね。エゾ・・・ってたいていつくんですね。
旅先で駅の光景もまたいいものですね。大好きなBS「沁みる夜汽車」という番組を思い出しましたよ。
登場するエピソードにぴったりの、プラットホームですね。
漢数字の運賃表。手作業の時刻ボード。なんかいいですね~。
サハリン、利尻富士、見えたんですね~。
一度、礼文、利尻島は行ってみたいと思っています。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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