イザベルの結婚式は夕方からだったので、午前中、セーヌ川のビル・アケム橋付近を散歩した。よく晴れて涼しく、気持ちのいい散歩日和だった。
ホテルのある北駅からRER、B線からC線に乗り換えエッフェル塔駅で下車。エッフェル塔がすぐ近くに見えるビル・アケム橋まで歩いてすぐだ。
ビル・アケム橋でエッフェル塔を眺め、橋の中心からセーヌ川を縦に伸びている「白鳥の小道」を歩いた。緑多いその道の突き当りには、フランスがアメリカ独立百年を記念して贈った自由の女神像がある。ニューヨークのシンボルは、フランスから贈られたものなのだ。
自由の女神まで、何分くらいかかっただろうか。時間を気にせずのんびりと歩いていたがけっこうあるなと思った。ところが、来た道を戻るとビル・アケム橋まで以外にもすぐに着いたのだった。
「なんか、帰りのほうが速かったね」
「不思議だよね。なぜか帰りのほうが短く感じるよね」
これは「帰宅効果」と呼ばれる現象らしい。行きはどのくらいかかるかわからない。まあこのくらいだろうという推測は、自分中心なもので短く見積もってしまいがちだそうだ。ゆえに、まだ着かないという小さなストレスが起こり、距離も時間も長く感じることが多いとか。
そう考えると、人生折り返し地点を過ぎた今も、どんな道のりかわからず歩いていることに変わりはない。白鳥の小道を歩くようにのんびりと、先が見えないストレスなどには惑わされずに歩いて行けたらいいな。
ビル・アケム橋には、メトロ6号線が走っています。
パリお散歩事情 1
〈メトロの10枚綴り回数券「カルネ」(1枚1.9€のところ10枚14.5€)がお得〉
回数券カルネは、メトロとRER(郊外以外)にも使える。乗り換えも気にせずスイカ感覚で使えて便利です。
ビル・アケム橋から眺めたエッフェル塔。
橋の真ん中では、結婚するふたりが写真撮影していました。
白鳥の小道です。木漏れ日のなか歩けば日々の喧騒を忘れます。
川辺の風景も楽しみながら、歩きました。
こんなアートのようなビルも眺められます。
パリお散歩事情 2
〈セーヌ川の真ん中を歩ける「白鳥の小道」を抜けると自由の女神像がある〉
シャイヨ宮です。トリコロールの旗もまぶしく。
パリお散歩事情 3
〈エッフェル塔を見るなら、ここ! シャイヨ宮〉
ビル・アケム橋をエッフェル塔の対岸に渡り、メトロ6号線沿いを歩くと、エッフェル塔が真正面に見えるスポットがあります。短い散歩の終点はここにして、ホテルに帰ってシャワーを浴び、結婚式に向かいました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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