「すずらんの森」で目にしたイカリソウを、『俳句歳時記』で調べてみると、おもしろい句が見つかった。
錨草花がこんがらがっている 清崎敏郎
ときどきお目にかかる、俳句ってこれでいいの? という種類の自由奔放な句である。たしかにイカリソウは、こんがらがっているようにも見えるが、もし自分でこの句を思いついたとしても、ないわ~と即時却下すると思う。
思いつく、というところがこういった句のすごいところなのだろうけれど。
俳句に大切とされる”描写”に重きを置き、誰もを納得させるような比喩に転じたところにおもしろさ、驚きがあるということか。
以前、芥川龍之介の青蛙の句にも、同じような驚きを覚えたことを思い出す。
青蛙おのれもペンキぬりたてか 芥川龍之介
ちょっと色は違うが、こんな句も見つけた。
稲の世を巨人は三歩で踏み越える 安井浩司
逆に、小人の句もある。
菫程小さき人に生まれたし 夏目漱石
こうして並べてみると、俳句って自由なんだと肩の力が抜けていく。
その自由さの裏にある確かな決め事がまた、難しくもあるのだけれど。

イカリソウ。春の山野草の句を、いくつか調べてみました。

今の季節、あちらこちらで見かけるマムシグサも、春の季語。
つややかに首立ててをり蝮蛇草 青柳志解樹

4月に庭や森に咲いていた春蘭。
春蘭や雨をふくみてうすみどり 杉田久女

同じく4月のタチツボスミレ。
山路来て何やらゆかしすみれ草 芭蕉

こちらも4月に咲くヒトリシズカ。
花了へてひとしほ一人静かな 後藤比奈夫

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。