海のない山梨県から、春っぽい海の広がる沖縄に行ったので、季語「春の海」「春の波」を調べてみた。
「春の海」は、傍題に「春の浜」「春の渚」「春の磯」「春の岬」などがある。
春の海ひねもすのたりのたりかな 蕪村
俳句を知らなかったときから聞いたことのあった句。「ひねもす」は「終日」のこと。春の海は、波が穏やか。1日中、のたりのたりと寄せては返している、といった感じか。
蕪村が故郷の丹後与謝(現在の京都府北部・丹後半島にある与謝野町)の海を詠んだ句だと言われているそうだ。
波すこしあそび覚えて春岬 関戸靖子
冬の海とは違って、波にも遊びはじめているような開放感を感じられる。
春の海地図にまだなき橋を置き 山田弘子
掛けている途中の橋は、地図にはないだろう。未来を感じさせる句。
「春の波」は、傍題に「春濤(しゅんたう)」「春怒濤」などがある。
舷(ふなべり)や汀(みぎわ)にひたひたと寄せる波、あるいは川波にも、春らしさが感じられる。
『俳句歳時記・春』より。
ひらかなの柔らかさもて春の波 富安風生
春になり、寄せては返す波も明るく穏やかに見える。平仮名の柔らかさにも似て。
人の世のことばに倦(う)みぬ春の浪 三橋鷹女
春の穏やかな波を眺めているのだろう。人間関係のわずらわしさに嫌気がさしている自分と、それをなぐさめるかのような明るく静かな波との対比に驚かされた。
春の波見て献立のきまりけり 大木あまり
取り合わせが、なんとも愉快。無関係なものを見ていて、ふっと何かを思いつく。よくあることなのだが、「春の波」と「献立のきまりけり」が、とてものどかだ。
波音は「1/fゆらぎ」、つまり人の脳波や心拍数とシンクロするリズムで、心地よさや安らぎを感じるのだという説がある。調べた俳句にも、そんな和みのようなものを感じる句が多かったように思う。

春の海のイメージの写真。はての浜です。

春の波のイメージ。これも、はての浜。はての浜に行ったときだけ、スカッと晴れていたのでこうなりました。

船から見えた海中歩道橋「シールガチ橋」。干潮のときには、橋桁の下の部分まで見えました。

途中、雨が降ってきた石垣島の川平湾。ここから、グラスボートに乗りました。

あまり綺麗に写りませんでしたが、グラスボートで見た青い珊瑚礁。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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