「春の野」は、春の地理の季語。傍題に「春野」「春郊」などがある。
春の野原。まだ吹く風も寒い中で早くも萌え出た若葉を摘む早春の野から、百花の咲く仲春から晩春にかけての野まで、春の野のながめは明るく、変化に富んでいる。
春の野は明るく開放感がある。古来人は春を待ちかねて野に出て、自然の力にあやかろうとしてきた。
『俳句歳時記・春』より。
吾も春の野に下り立てば紫に 星野立子
スミレ、レンゲ、ホトケノザ、カラスノエンドウ、ヒメオドリコソウ、カキドオシなどなど、春の野には足もとに紫や薄紫の小さな草花が咲いていく。そんな小さな草花たちと同化する自分。そんな情景を思い描いた。
いま春の野へ放ちたき心かな 稲畑汀子
春の野に立ち春の光を感じれば、その眩しさに目を細め、明るく晴れ晴れとした心持ちになる。俳人、稲畑汀子の句のやわらかさと、輝きを見つめる視線の鋭さを思う。
春の野の影でこぼこと二人かな 藤井寿江子
のびのびとした気持ちになる句。大きい影と小さい影。大きいといっても大人ではなかろう。影があるということは、光のなかにいるということだ。
また「春の土」は、春の地理の季語。傍題に「土恋し」「土現る」「土匂ふ」などがある。
凍てがゆるみ、草が萌える頃になると柔らかな土に春の訪れを実感する。雪と氷に閉ざされた地方で生まれた「土恋し」ということばが今では広く使われるようになった。
『俳句歳時記・春』より。
鉛筆を落とせば立ちぬ春の土 虚子
冬の土では、鉛筆は立たないだろう。鉛筆ほどの軽く細いものが、すっと刺さり立つ春の土。やわらかく包容力がある。
つばさあるもののあゆめり春の土 軽部烏頭子
庭には、様々な野鳥が来る。ジョウビタキやツグミの季節。もちろんヤマガラやシジュウカラ、ヒヨドリも見かける。土の上を歩いている。彼らが活発になってきたと感じる、この頃である。
足跡のふはりと乗りて春の土 片山由美子
「ふはりと乗りて」がいい。春の土のやわらかさと、春になって身体が軽くなったかのような感覚とを表現している。
一昨日は、二十四節気の「雨水」だった。積もっていた雪が解けはじめ、水に変わる頃。昔から春の耕作を始める目安とされてきたという。
同じ道を車で走っていても、畑に生えてきた雑草の緑や紫色の花々が、ほんの少しずつだが一日一日増えていくのを感じる。

甲府へ抜ける途中、よく通る農道にある甲斐市のお花畑。遊休農地を利用した無料開放のフラワーガーデンです。

南アルプス連峰が見渡せる気持ちのいい場所です。句会へ行く途中、通りました。

耕してあるのかな。それとも、もう種まきを終えているのかな?

小さな緑は、雑草でしょうか。

道路沿い、畦のようなところにはオオイヌノフグリやホトケノザが咲いていました。

お花畑を見に来る人たちのためのベンチも、休憩中。

今年も、畑いっぱいにポピーが咲くはずです。

数年前の5月半ば過ぎの様子。

赤いポピーが一番多いんだけど、ピンクの方が好き。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。