明け方雨が降った朝、カーテンを開けると、外はまだどんよりしていた。暖かく、乾ききっていた空気がしっとりしていて、ホッとする。
「春の雨」は、三春の天文の季語。
春に降る雨の総称。雨には概して陰鬱なイメージがつきまといがちであるが、この季語には春ならではの明るく暖かな雰囲気がある。
「きごさい歳時記」より。
使っている角川の『俳句歳時記・春』では、「春の雨」は、「春雨(はるさめ)」の傍題となっていて、「春雨」は、しとしと降り続く晩春の雨を指すそうだ。
今年の春はまだ降り続くという雨はなく、ここ数日で降った雨は、ネットのきごさいの「春の雨」という季語が近いように思う。
もつれつゝとけつゝ春の雨の糸 鈴木花蓑
霧雨のような雨を、一物で詠んでいる。「糸」に雨を例えた描写は多いと思うが「もつれつつ、とけつつ」がいい。
同じ顔ならぶ個展や春の雨 片山由美子
アートなどの個展で、絵でも写真でも彫刻でも、じっくりと見ている人の顔は、表情がどこか似通っている。それを「同じ顔」と表現したのだろう。春の雨のなか、足を運ぶ熱心な人たちだ。真剣な鑑賞だったに違いない。真面目な表情だからこそのおもしろさに惹かれる。
春の雨郵便ポストから巴里へ 浅井愼平
パリへと送る手紙。ポストへ投函する一瞬、ほんの少し、春の雨に濡れてしまったのだろう。その春の雨さえもパリへと届くのである。
ちとやすめ張子の虎も春の雨 夏目漱石
春の雨が降り続いていたのだろうか。少しは休んだらどうかと、首を振り続ける張子の虎に、やれやれといった様子で肩をすくめる漱石が思い浮かんだ。
雨が降った一昨日は、気温が上がった。ひと雨ごとに、春になっていく。

朝7時半、新聞を取りに行ったとき。家の前の道の東側の風景。雨上がりの空。

西側の風景。道路もしっとり濡れていました。

北側。八ヶ岳も雲のなか。

家の北側から見た北東の空。

同じく家の北側から見た北西の様子。

南側を振り向いて。

1時間半後の9時。春の雨も雲も、どこへやら。

南アルプス連峰も、頭を覗かせていました。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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