5月の句会。兼題は、「風薫る」「万緑」。
「風薫る」は、夏の天文の季語。傍題に「薫風(くんぷう)」などがある。
木々の緑を運ぶ心地よい風。
『俳句歳時記・夏』より。
風薫る羽織は襟もつくろはず 芭蕉
京都の詩仙堂を訪れた芭蕉が、石川丈山(いしかわじょうざん)の像を拝して句にしたものだそうだ。風薫る季節、丈山の像は羽織を着流し襟を直しもしない姿が逆に粋に見えたのだろう。文人でもあった武将丈山に対し、温かな目を向けて詠んだのかもしれない。
風薫る森にニーチェを読みにゆく 遠藤若狭男
心地よい風と、森と、ニーチェの取り合わせが絶妙だと感じた。
「万緑」は、夏の植物の季語。
木々の緑が深まり、生命力に溢れる様子。(中略)中村草田男が用い、一般化した。
『俳句歳時記・夏』より。
万緑の中や吾子の歯生え初むる 中村草田男
この句によって「万緑」は季語として使われるようになったそうだ。野山は緑一色。そんな中、大切なわが子に白い歯が生えはじめてきた。そんな喜びを詠んだ句だという。万緑という自然の力と、赤ん坊の生命力とを取り合わせている。
万緑に一戸一戸の沈みゆく 西山睦
田舎で暮らしていると、ほんとうにそうだと実感する句。木々の緑に覆われ、家々も沈みゆくのである。
わたしの句は、こちら。
万緑や湯のやはらかき露天風呂
昨夏、友人たちと4人で、福島の磐梯熱海に1泊のんびり温泉旅行をした。そのときの緑のなか木漏れ日を浴びながら露天風呂に浸かり、心が開放されていった感じを詠んだ。
6月の句会。兼題は「瓜の花」「白玉」。
そろそろ、産直売り場に地元の胡瓜が並ぶ頃だ。

露天風呂の写真はありませんが、磐梯熱海の温泉旅館の庭園です。

池にも緑が映り込んでいて、木漏れ日がきらめいていました。

気持ちよく散策しました。

「水月園」は庭園の名前のようです。

これは擬宝珠の葉っぱかな? こんなところに、と覗きこむと。

もみじの小さな葉が、木の股から出ているのを見つけました。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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