御節を作りながら、そのひとつひとつに思い出すことがあるなあと考えていた。
例えば、お煮しめの高野豆腐の飾り切りは、結婚したばかりの頃、年末年始を神戸の夫の実家で過ごしていたときに、義母に教わったもの。
そんなたいそうなことではなくても、小学生だった娘たちと蒟蒻を手綱に結んだこともよく思い出す。
関東で「田作り」と呼ぶ「ごまめ」は、やはり神戸で教わったが、煎りすぎて苦くなったり飴がなかなか固まらなかったりと苦手料理で、何年か前からできたものを買うようになった。
義母は、その辺りあまり気にしなかったのか、普段料理をしない夫に煎るのを任せていて、驚いたことも思い出す。
数の子のちぎり方も、小さい大きいで義父や叔父では感覚が違っていたし(茅ヶ崎の叔父の家で年末年始を過ごしたこともあった)、なますは、東京の実家で亡き父が作るものはとても甘く、「美味しい」と言いながらも「甘いなあ」と思っていた。
伊達巻きは甘くて苦手だが、美味しく作れたらいいなあと憧れもあった。
けれど、夫の実家では茹で卵を花型に切ったものを詰めていて、だから我が家の御節には伊達巻きはない。子供が小さかった頃買ってはみたものの、いつも残るのでやめてしまった。
御節作りは、もういいかと思ったこともあった。新婚の頃にスーパーで買ったプラスチックの重箱に、気持ちが萎えていた。子育てなど、忙しいかった頃でもある。
そんなとき、新宿の小田急百貨店で重箱を新調した。
それから10年以上、御節を作り続けている。
こだわり過ぎず、苦手なものは購入し、できる範囲でのんびりと。
元旦の朝は、北海道の日本酒、上川大雪で乾杯しました。
干し椎茸は一番採りどんこを使いました。義母に教わった高野豆腐の切り方。
高野豆腐の飾り切り。ネット検索では、こういう飾り切りは出てきませんでした。
伊達巻きではなく茹で卵、というのも神戸の義母の御節。鰤を照り焼きではなく塩焼きにするのは、夫の好みによるものです。
鶏の照り焼きは、土井勝師匠の味。
神戸では丸餅でしたが、最近はあまりこだわらず切り餅にしています。鶏を入れたお吸い物に三つ葉と柚子のシンプルなお雑煮です。
明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。
素敵な重箱ですね。
我が家は母がいくつも持っていて、実家にあるのに取りに行っていませんでした。
私も子供が小さい頃は、結婚式場のおせちが実家から届いていて(付き合いで買わされたようです)
そのプラスチックの重箱に詰めていました。
でもプラスチックは味気ないですね。
高野豆腐の飾り切り、本当にきれいですね。
私もまねてやってみようかな~。
市販の伊達巻は甘すぎますね。
日持ちするように甘くしているのだと思います。
手作りすると甘さ控えめの伊達巻ができていいです。
我が家の伊達巻もはんぺんの味にほのかな甘さという感じです。
明日からまた通常モードですね。
関西は丸餅なのですね。
ところ変われば、形も変わるんですね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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