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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

ヒライス HIRAETH

『なくなりそうな世界のことば』のなかに、ウェールズ語の「HIRAETH(ヒライス)」という言葉があり、わけもなく魅かれる自分を感じていた。

もう帰れない場所に、帰りたいと思う気持ち

という意味を持つ言葉だそうだ。解説に、こうもある。

もう決して届かないものに対しての憧れは切なく、だからこそ一層、捨てがたいものになるのか。

東京生まれのわたしには、田舎というものがない。

故郷に帰りたいと思う気持ちが、だから理解できない部分があるのだと思う。

東京の実家の両親は健在で、東京に「帰る」という言葉も使えるかも知れない。上京すれば会いたい人もけっこういるし、東京が故郷であるとも言えるだろう。

しかしむかしよく歌われたような、例えばさだまさしの『案山子』だとか、そこに登場する「故郷」という言葉に対するものと、わたしが思う東京とは、思いの温度がまったく違う。似て非なるものだと、ずっと思ってきた。それが少し、淋しかった。

 

さて。先日出かけた東京で、夫と炉端焼きの店に入った。

「むかし、行ったよねえ。炉端焼きの店」と、わたし。

「釧路でねえ」と、夫。

結婚した次の年だったから、31年前になる。

カウンターで酒を酌み交わしながら、ふっと「HIRAETH」を連想した。あの釧路の炉端焼きの店。あの頃の自分、あの頃のわたしたち。

あの頃の自分自身が、もう帰れない場所、帰りたいと思う場所なんじゃないのかな、と。そしてそれは、たぶん今に通じている。

CIMG0422

「HIRAETH」の挿し絵です。映画『ウェールズの山』を思い出しました。

『なくなりそうな世界のことば』→ 「ナティンnating」「ンブラBULA」「シマナSIMANA」「イヨマンテ IYOMANTE」

CIMG0373浅草の『炉ばた焼きたぬき』です。

CIMG0368狸いろいろが、カウンターにも並んでいました。可愛い♡

CIMG0369灰皿も、味のある雰囲気の狸さんでした。煙草、吸わないけど。

CIMG0367可愛くない狸も! これ、徳利なんです。

CIMG0354後ろ姿には、哀愁が漂っていますね~(笑)

CIMG0359わーい。サザエ焼いてもらった!

CIMG0365帆立も! 切って葱がのせてあって、タレが美味でした。

CIMG0352ハイ、チーズ! って言ったわけじゃないんだけど(笑)

 

☆『地球の歩き方』特派員ブログ、更新しました。

【木工体験が楽しい!自然木のぬくもりを大切に『自然木工房ONO』】

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PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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