庭の辛夷(こぶし)が、次々咲いている。
「辛夷」は、仲春の植物の季語。
春、葉に先立って芳香のある白い六弁花をつける。蕾が赤子の拳に似ていることから、この名がついたといわれる。
『俳句歳時記・春』より。
昨年『飯田龍太自選自解句集』の句を紹介していた。
満月に目をみひらいて花こぶし 飯田龍太
満月とたわむれる無数の辛夷の花たちの姿を詠んでいる。
花湧くやしののめ風の大辛夷 高田蝶夢
辛夷と風を詠んだ句は多数見られた。春一番の季節である。「花湧くや」の表現が、辛夷が次々咲いていく様子を言い得ている。
夕辛夷ドガの少女は絵に戻る 河村信子
意表を突く取り合わせの句。ドガの踊り子シリーズは室内のやわらかな光で白いチュチュをまとう少女が描かれていて、夕暮れのなかの辛夷の花と、たしかにリンクする。
町中の辛夷の見ゆる二階かな 鈴木花蓑
町に山に、辛夷は咲く。辛夷の花が見える2階の部屋。そこから辛夷を眺めている。事実をそのままに詠んでいるのだが、趣を感じる。眺めている人の人となりやどんな部屋なのか、町の風景さえも想像の中で広がっていく。
青空に喝采のごと辛夷咲く 白濱一羊
一昨年は『俳句歳時記・春』から、この句を選んでいた。2年経ったが、読み調べた句のなかではこの句がいちばん好きだった。

いちばん大きな辛夷の木です。蕾をたくさんつけています。

儚げな風情を感じる花です。

蕾の姿も、また可愛い。

こちらは、初めて花を咲かせている若木。

葉のない枝に真っ白な大きな花を咲かせるのが、魅力です。

向こうには、八ヶ岳連峰。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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