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はりねずみが眠るとき

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えごの花・山法師の花~夏の季語

家の北側、もともと自生していたエゴノキに、花が咲いている。

白い花が、うつむいて咲くさまが可愛らしい。あまり目立たないので気づかなかったのか、すでに落ちている花も多数あった。

 

「えごの花」は、夏の植物の季語。傍題に「えご散る」がある。

花はサポニンを含み、むかしは子供が水につけてシャボン玉遊びをした。果皮には麻酔効果があり搾汁を川に流して、魚を捕るのに使われた。

『俳句歳時記・夏』より。

ちょっと怪しい半面を持つ植物、と言えるかもしれない。

咲きそめてはやこぼれつぐえごの花  片山由美子

咲いては散ってゆく花なのだろうか。

子に跼(かが)む妻を見てをりえご散れり  千代田葛彦

うつむいて咲くえごの花を、子供と見上げていたのかもしれない。

 

また、山法師の花も、ちょうど今咲いている。えごの花とは真逆に、うつむくことなく空を見上げて咲くので、木の下からは花の様子は見えない。2階のベランダから、山法師の花を眺めるのがこの時期の楽しみだ。

「山法師の花」も、夏の植物の季語。「山法師」「山帽子」などの傍題がある。

天心へ飛び立つかたち山帽子  吉田千嘉子

プロペラを連想する句だ。

山法師あたりのものの定まらず  星野高士

ピンと空に向かって花びらの先を伸ばす山法師の花。ほかのものはぼやけて見えるほどだ、ということだろうか。

 

うつむいて咲く花には、ひっそりとした、ひかえめな、憂いを感じさせるような、などの印象を持つ。

空に向かって咲く花には、元気な、自由奔放な、強さをも持つイメージだ。

花は、それぞれにただ咲くのみ。けれど、それを見る人の心に、そういった感情を喚び起こす。それが、俳句のもととなる「SOMETHING」なのだろう。

朝、日影のうちに撮ったえごの花。

下から見あげると逆光ですが、花がよく見えます。

リビングの窓から見下ろしたエゴノキ。

お昼過ぎには、陽が当たって気持ちよさそうでした。

西側の庭の真ん中には、山法師が咲いています。

2階からしか、花は見えません。

 

みんな揃って、上向いて。

すでに、実が赤くなっている花もありますね。

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  1. hanamomo より:

    こんにちは。
    初夏は白い花が多いですね。
    山法師、エゴ、我が家の近所にはオルレアの花もきれいです。

    俳句それぞれいいですね。
    最後の星野高志さん、立子さんのお孫さんですね。

    咲きそめてはやこぼれつぐえごの花  片山由美子

    えごの花の特徴をよくとらえている句ですね。
    私が大好きな短歌です。

    時いたり肩にこぼるるえごの花めぐみのやうなほろびのやうな 稲葉京子

  2. さえ より:

    >hanamomoさん
    こんにちは~♩
    初夏の白い花は、清々しいですね。
    オルレア、よく見かけますが、今年はまだかな。華やかな花ですよね。
    星野高志さん、そうですよね。星野さんの赤とんぼの句が大好きです。
    >時いたり肩にこぼるるえごの花めぐみのやうなほろびのやうな
    素敵な歌を教えてくださって、ありがとうございます。

PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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