久しぶりに、セロリの千切りサラダを作った。
『俳句歳時記』に、セロリは載っていなかったが、ネットでは俳句も数多くヒットしたので調べてみた。
「セロリ」は、なんと冬の植物の季語だった。傍題に「ルリ」「オランダ三葉」「清正人参」などがある。夏に種を撒き、冬に収穫する野菜だとあった。
みずみずしセロリを噛めば夏匂う 日野草城
たしかに、夏の匂いであるように思う。けれど、現代語訳ではこうなる。
寒い時期に取れたてのセロリをほおばったら、その水分が口いっぱいに広がり、なんだか夏のような感じがした。
冬の季語だと知らなかったら、鑑賞できない句だった。
荒星の匂ひのセロリ囓りたる 夏井いつき
荒星は、木枯らしの吹くような冷たい夜に輝く星のこと。この句では、そんな匂いだと詠んでいる。
初凪やセロリのスープすきとほり 鈴木多江子
こちらは、新年の季語「初凪」を主役にし、セロリを詠んだ句。セロリは、煮ると透き通るんだよね。透き通ったセロリに新しい年の明るさ、凪いだ穏やかさを、そして温かさ、やわらかさを感じる。
調べてみたら、変わらずただそこにあるだけのセロリの匂いも、透き通ったうすみどりも、不意に浮かび上がるかのように鮮明に見え始めた。
庭や近所で花を見るたび、キッチンで野菜を洗うたびに俳句を調べるようになり、これまで見えなかったものが、くっきりと見えてくるようになった気がする。
何度作ったかわからないセロリのサラダ。
栗原はるみのレシピをもとにしましたが、もはや我が家の味になりました。
鶏ササミをにんにく醤油で焼いて、ほぐして、山葵マヨネーズと和えます。隠し味は、コンソメ。
セロリの写真を集めてみましょう。このひと株を千切りにして、ひと晩で食べきる夫婦。ちょっとホラー(笑)
ぼんやりと刻む時間が好きです。
達成感あります。
初凪の日に食べたい、セロリのスープ。夏にも食べたくなりますね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。