下調べは足りなかったが、おかげで出会えたものもある。
歩き出してすぐに訪ねたアンティークショップ「SECOND HAND SHOP 中古知新」で、ずっと欲しいと思っていたイメージにぴったりの置き時計を見つけた。
数年前に娘に部屋を譲り受けてから、机の前に置く時計を探していたのである。
値段や機能的なもののほかに、雰囲気や色合い、大きさや手に取った感触、重さなども大切だが、出会うタイミングというものもある。
去年の暮れ、ロンドン郊外のブライトンという海辺の町で、雑貨屋通り「ケンジントン・ガーデン」を歩いたときに、じつはぴったりくる時計を見つけた。値段もリーズナブルだった。
けれど、そこからマドリードへ飛び、郊外の街ピントでクリスマスシーズンを過ごそうというタイミング。泣く泣くあきらめたのだった。
今回も、1日目にメインストリートから外れた場所にあるお店で見つけ、これから荷物をしょって歩くのだからと翌日に持ち越した。
「明日も、やっていますか」と聞くと「はい、営業しています」という返事。
友人の書道展を楽しんだその足で、まずは時計に会いにいった。
果たして、レトロな置き時計はおとなしく待っていてくれたのだった。
今、机の横の娘が置いていった電子ピアノの上で、時を刻んでいる。

とぼとぼ歩いた道から撮った「益子陶芸村」。そこに時計はありました。いくつかのお店が集まっている場所で、トイレもあって助かった。

「SECOND HAND SHOP 中古知新」。シックな赤に目を惹かれるアンティークショップです。

その日の夕方「益子陶芸美術館」へ行きました。

「松崎健 窯艶 ―健の陶表現―」を観ていたら、なにやら音が聞こえてきました。鞄に入れた置き時計の音でした。しっかり時を刻んでいました。

いいな~と思った花器。

益子町生まれの木版画家・笹島喜平の作品が観られる「笹島喜平館」へも、時計を持って行きました。

もっとも惹かれた版画『竜頭の滝』。去年訪ねた青森で観た棟方志功。その棟方に学んだ、とあり不思議なつながりを感じました。

今ゆっくりと、いえ、着実に時を刻んでいる時計さん。これから、よろしくね。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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