「八ヶ岳が、縞々になってる」
一昨日の朝、夫と窓の外を眺めた。
八ヶ岳連峰の真上に、ひつじ雲のような雲が空いっぱいに広がっていた。ふたり別々に出かける忙しい朝に、窓の外を眺めるだけでこういう時間が持てるのは幸せなことだ。
山に襞あれば影置き秋の雲 森重昭
『俳句歳時記・秋』に載っていたこの句を、一字一句覚えていたわけではなかったが、思い出してあらためてページを捲った。2年前にも紹介した句だ。
「影置き」という言葉が、印象に残っていた。
八ヶ岳の襞にも、襞があるからこその味わいのある影になっていた。
高々と晴れ上がった空にくっきりと浮かぶ白い雲は、いかにも秋らしい爽やかさを感じさせ、どこか心を遠くへ誘うものがある。
『俳句歳時記・秋』より。
山荘の鏡に移る秋の雲 松本澄江
高い山の上の山荘を想像した。「赤岳頂上山荘」のような場所だ。「移る」が「映る」ではないことから、雲の動きも見えてくる。
窓あけば家よろこびぬ秋の雲 小澤實
なんとも気持ちのいい句だ。擬人化した家が可愛らしく思えてくる。絵本の『小さなおうち』のようなイメージが広がった。難しいといわれる擬人化の成功例だろう。
八ヶ岳上空の雲たちのいたずらに、思わず歳時記を捲った。それもまた愉しい。この土地から眺める空との、一期一会を思う。

朝7時半過ぎ。縞模様に見えた八ヶ岳連峰。

こんな風景は、初めて見ました。

アップにして。

広角にすると、雲の広がりもよく見えます。

2時間ほど経った9時半頃。雲は、八ヶ岳にくっついていました。暦の上では、はや立冬ですね。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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