稲穂が、深く頭(こうべ)を垂れてきた。明野には、田んぼが多い。日々、稲の変わりゆく姿を目にしつつ、夏を過ごしている。
実るほど頭を垂れる稲穂かな
これは俳句だと思っていたが、「詠み人知らずの諺」として知られているらしい。
稲は豊かに実るほど、頭を垂れる。人もまた、学問や徳を深めるほど、謙虚な姿勢で誰に対しても接するようになれる。そんな意味の言い伝えだそうだ。
「稲」は、秋の季語。「初穂」「稲穂」「陸稲(おかぼ)」「稲穂波」「稲の香」「稲の秋」などの傍題がある。
熱帯アジア原産のイネ科の一年草。季語では、実った穂が垂れ黄金色に輝く秋の稲をいう。
日本での稲作は縄文時代の終わりに始まったといわれ、長い時間の経過のなかで日本人の精神文化の形成にも大きな影響を与えてきた。
『俳句歳時記・秋』より。
稲稔りゆつくり曇る山の国 廣瀬直人
稲が実るまでの時間の経過を「ゆっくり曇る」に感じた。廣瀬直人は山梨の俳人。「山の国」に、似たような風景を望んでいたのだろうと想像した。
稲の波案山子も少し動きをり 高浜虚子
動くはずのない案山子。稲が揺れるなかで、まるで命を吹き込まれたかのように見えたのか、あるいは、周囲が動くことでそこにある動かぬ物の方が動いているように見える目の錯覚を詠んだのか。おもしろい。
稲無限不意に涙の堰を切る 渡辺白泉
稲の実りは、そのまま豊かな米の実りを思わせる。田んぼに囲まれたこの地へ越してくるまでは、稲穂広がる風景と日々口にするご飯とが結びつかなかったのだが、25年田んぼを眺めてきた今なら、この句の感動がわかる。自分で米作りをしているわけではないので、少しわかる、という程度なのかもしれないが。
空へゆく階段のなし稲の花 田中裕明
季語「稲の花」。稲の花、じっくり見たことはない。
稲関連の季語は、収穫の早い順に「早稲(わせ)」「中稲(なかて)」「晩稲(おくて)」などがある。
刈るほどに山風のたつ晩稲かな 飯田蛇笏
稲刈りも、もうすぐだ。

近所の田んぼ。

しっかり実っていますね。

田んぼの畦いっぱいに伸び、花を咲かせたヘクソカズラ。

可愛らしい。

実りの風景。

うっとりします。
もうすっかり稲刈りできそうな稲ですね。
最近暑くて田んぼの様子を見に行っていなかったのですが、そろそろ見に行かなくては。
日本人の主食のお米、今年は高くうなりそうですが、買わないわけにはいきません。
今年は稲の花も見なかったことに気が付きました。
稲の花は穂からツンツンと細かな黄色い雄蕊のようなものが出ているといったたとえようがない形です。
車だと見えないので、私は田んぼの近くを歩いたときに見ています。
例年我が家の新米ができるのは9月の24日ごろです。
とても楽しみですが、今年は古いお米が残っています。
あまりに暑いので冷蔵庫に入れています。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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