夫の写真展のサポートや、母のことごとなどで、今月はたびたび東京へ出かけている。合計すると5泊になる。
夫と、あるいは東京の友人たちと飲みに行くこともあるが、ひとりの夜もある。
「茅場町食堂」に行ったのは、そんなひとりの夕刻だった。
そこで初めて、「ほやたまご」なるものを食べた。
今が旬、とメニューにあり、頼んでみたのである。
ほやを丸ごとひとつ使い、くるんと卵を包んで茹でたものらしく、ほやに含まれる海水の塩気が卵とマリアージュするそうだ。
もともとは漁業関係者の家庭で食べられていた宮城県女川町の郷土料理だという。
調理していたスタッフさんが、調理前のほやを見せてくれた。
「貝でも魚でもなく、動物なんですよ」
「へえ。貝だと思ってました」
「みなさん、そう思われているようですよ」
でこぼこの楕円形で先っぽが葉っぱ部分にも似ていることから「海のパイナップル」の異名を持ち、漢字では「海鞘」とかく。その名もランプシェード(火屋)に似ているとついたらしい。
「もしかして、ほや、初めて食べたかも」
ほやたまごは、臭みも固さもなかった。卵を包んだ身はやわらかく、海のやさしい旨味が口のなかに広がった。
「茅場町食堂」は、オーダーしたシュリキトリもほやたまごも、量を聞くと、ハーフで提供してくれた。
ひとり飲み客にやさしい、ちょっとスペインのバルを思い出すような食堂だった。

洒落ていて、ひとりでも入りやすい雰囲気でした。

突き出しは、鱚のエスカベーシュ。

シュリキトリを、ハーフでオーダーしました。スペインの生ハムと、パテ、鶏レバーのオイル風味。

そして、ほやたまご。これも、ハーフで。

日本酒が種類豊富だったので、辛口のものをと頼みました。ワイングラスで、お洒落です。

「三井の寿」は、漫画『スラムダンク』の登場人物、背番号14三井寿(みついひさし)のネーミングの由来となったお酒だそうです。

翌朝は、茅場町界隈を散策しました。

東京に行くと、一日一万歩くらい歩きます。

知らない花も、咲いていました。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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