ライン川を下り、少し先のコブレンツに宿泊した帰り、マインツという街に立ちよった。旅の最終日である。
20日間ほどの旅程を何事もなく終え、ホッとしていた。そして、かなり疲れてもいた。
集中力はそろそろ限界。ウールのマフラーをうっかり置き忘れてきたり、電車に乗り遅れてしまったり。ドイツの旅は、スケジュールを詰め込みすぎたと反省もしていたが、やりきった感もあった。
もう、フランクフルトの宿に戻り休もうか。
いや、もうひとつだけ、知らない街を歩いてみようか。
そんなせめぎあいに、「せっかくだから」という欲張る気持ちが勝った。
マインツは、ライン川とマイン川の合流地点に栄えた宗教都市。
街のシンボルの大聖堂の周りには、週3回、市が立つ。観光客向けというより、野菜や果物、肉やパンなどの露店が並ぶ、街で暮らす人のための市だ。
ここには「グーテンベルク博物館」もある。この街で生まれ、活版印刷を発明したヨハネス・グーテンベルク。長い長い印刷の歴史がわかる博物館。
大聖堂の南側には、キルシュガルテン。むかしながらの木組みの家が建ち並ぶエリアで観光スポットにもなっている。
そのキルシュガルテンで、吸い込まれるようにしてカフェのテラス席に座った。
疲れていたのももちろんあるが、そこはかとなく居心地が良さそうに見えたのである。
感覚は人それぞれだし、何を持って居心地がいいと思うかも無論それぞれだ。次がもしあったとしても、同じように居心地がいいと思うかどうかもわからない。
そこでしばらく動けなくなってしまったのは、座った途端、もう旅は終わりなのだと、すっと胸に落ちたからかもしれない。
生姜の利いたホットレモネードが、優しく喉を通っていった。

マルクト広場で火・金・土曜に開催される朝市。7時から14時まで。

どの八百屋さんにもあったこれは、スープの素のようです。大きな塊はセロリの根っこだと思います。ドイツはスープもおいしいんですね。

市の真ん前にある大聖堂の中庭で。いや、大聖堂のまえに市が立つのか。

キルシュガルテンの居心地のよかったカフェのテラス。

ホットレモネードをゆっくり味わいました。生姜が入っていて辛くて温まりました。

「グーテンベルク博物館」。

活版印刷機。ワークショップも行われているようでした。やってみたかった。

誰でも刷れる様にと簡易化された印刷機。「機械は、美しくなければならない」というグーテンベルクのポリシーが新鮮でした。

マインツにも、アンペルマンならぬ独特な歩行者信号が。青信号、撮り損ねました。「マインツェルメンヒェン」と呼ばれる6人のご当地キャラのひとり。眼鏡をかけた男の子です。
☆3日前、ぶじ帰国しました。スペイン、ドイツの旅レポはこれでおしまいです。読んでくださってありがとうございました。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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