家の北側の堰沿いの道を、久しぶりに歩いた。
堰にかかる背の高い木を剪定してもらっていて、下からその様子を見たり、掃除したりしたのだ。
その道は細く、動物避けのライトが置いてある。センサー付きのライトだ。そこにやたらと色艶のいいけろじがいた。目の上の黒い線もはっきりとしていて歌舞伎役者のようだ。
「こいつ、朝からここにいる」
すでに夕刻で、しかし夫は朝もここにいるのを目撃したという。
ウッドデッキに1日2日同じ子がいるのはよくあることだが、ライトは小さい。
「きっと、美味しい羽虫がいっぱい飛んでくるんだねえ」
近くで見るとけろじの緑が際立って見えたが、離れてみると周囲はうっそうとした緑、緑、緑。カエルが10匹くらい隠れていても見分けがつかないだろう。
春の顔を出すアマガエルたちは、わりと大きめだ。冬眠していた大人が顔を出すからだろう。それが夏の初めに小指の爪ほど小さな子たちが跳ねまわり、だんだん大きくなってくる。
「この子は、ここで冬眠するのかな」
1年を振り返り、冬の気配を濃い緑の木々のなかに感じた。
お肌が艶々な真緑のけろじ。
緑に囲まれているねえ。
うちのガスメーターにも、大きなけろじが。
隙間が好きなんだね。目の下とあごがうっすら緑のけろじ。
堰まで歩く道沿いに咲いているコスモスは濃いピンクが綺麗。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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