『地球の歩き方』の「土偶に会いたい!」シリーズも3回目。
JR甲府駅北口広場に建つ「藤村記念館」へ行ってきた。
ここは今年の「手話まつり」のときにお世話になった場所。強風で着替え用のテントが吹き飛ばされたのを心配して、室内を使わせてくれたのだった。
訪ねるのも、ちょっとなつかしくうれしい。
さて。御朱印帳を渡し、展示された「後呂遺跡の人面装飾付深鉢形土器」をじっと見つめる。
深鉢の土器の左右に、ひとつずつ顔が彫られている。
ひとつは、笑ったような顔。ひとつは、怒ったような顔。
出産の喜びと苦しみか、とある解説などを読みつつ、その顔を見比べる。
すると、スタッフの女性ができあがった御朱印帳を持って来てくれた。
「この土器は、顔が2つあるんですよ」
「ひとつの土器に2つの顔、おもしろいですね。それにこの、笑った顔が可愛い」
「でしょう! 可愛いですよね。でもね、怒った顔もまたいいんです」
「ですね~キュートです」
そんな会話を交わしていると、これまで見てきた土偶や土器を案内してくださったその場所場所のスタッフさんの笑顔を思い出した。
みな、”うちの子”感覚が、なんとも微笑ましかった。
うちの子は、ここが可愛いんです。うちの子は、そこがアピールポイントなんです。見てください、うちの子の目。うちの子のお腹。うちの子に刻まれたこの模様。うちの子、うちの子、うちの子。
1万年、あるいは5000年のときを超えて、愛されている土偶や土器。そこに表現された笑顔やあどけなさ、苦しみや悲しみの表情。
それは、近くにいる人々を魅了して止まないのだ。
山梨には、まだまだ土偶がいる。土器もある。
さらなる出会いが、待っている。
甲府駅北口広場の「藤村記念館」です。じつはこの写真は2018年のもの。土偶巡りで訪れたときには、イベントのテントでいっぱいで、外観の写真が撮れませんでした。写真、撮っておくものだなあ。
そしてこれが、ここの子です。
ガラスケースが反射してうまく撮れなかったけど、じっと見てください。笑っています。
そしてこちらは、怒っているような表情作り手の意図は、永遠に謎のままかもしれませんが、数多くの人々の想像をかき立ててくれる土器です。
☆『地球の歩き方』北杜・山梨特派員ブログ、更新しました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。