「結婚式には、この指輪はどうかしら?」
パリジェンヌ、イザベルの結婚式に出席すると話すと、義母は自分のことのように喜んで、お気に入りの指輪を貸してくれた。先月帰省したときのことだ。
義母は、わたしの誕生日に何度か指輪をプレゼントしてくれた。誕生石のアメジストやシルバー&ダイヤ、ゴールドに小さなダイヤを散りばめたもの。普段は指輪はしないので、自分で買うことはしない。だからちょっとお洒落して出かけるときには、その指輪たちに楽しませてもらっている。
今回も、アメジストをはめて式に出席しようと思っていたのだが、華やかなシルバーとゴールドを組み合わせたその指輪を借りることにした。
思えば、義母はいつも指輪をしている。結婚指輪とかではなく、洒落た指輪だ。以前わたしが体験教室か何かで作ったゴールドと赤を組み合わせたビーズの指輪も気に入って、ときどきしてくれている。出かけるから特別にこれ、ということももちろんあるが、日々の生活のなかお洒落を楽しんでいるのが伝わってくる。
わたしもそういう暮らしに憧れて、やってみようと思ったこともあったが、三日坊主に終わった。やろうと思ってできることではないのだ。日々の暮らしのなかのことを続けるには、そうしたい、そうありたいとの心からの思いがあるからこそできるのだと実感した。
義母に借りた指輪は、そんなさりげないお洒落パワーを発しているような気がする。その力を借り、わたしも精一杯お洒落しよう。イザベルを祝福するために。
義母に借りた指輪です。この指輪をはめて、パリの郊外で行われたイザベルの結婚式に、夫と娘と一緒に出席しました。
これは誕生日に義母にもらった指輪たち。真ん中は誕生石のアメジストです。
夫と選んだエンゲージリングも久々に出してみました。『赤毛のアン』で、アンが真珠を涙の粒に例えて「喜びの涙も悲しみの涙も、ともに」というのに憧れて、誕生石ではない真珠を選びました。
☆明日から、パリ&ビルバオ&ブリュッセルの旅レポ、スタートします☆
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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