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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

『常設展示室』

原田マハのアートをテーマに置いた短編集。

運命に悩みながら美術館を訪れた人々の未来を、一枚の絵が切り開いてくれた――

6編の短編は、6枚の絵でもあった。

 

「群青 The Color of Life」~パブロ・ピカソ「盲人の食事」

35歳の美青(みさお)は、ニューヨークの「メトロポリタン美術館」勤務。現在、障害を持つ子供たち向けの教育プログラムを進行中だ。

だが、ある日突然、目に異変を感じる。

 

「デルフトの眺望 A View of Delft」~ヨハネス・フェルメール「デルフトの眺望」

40代後半のなづきは、現代アートを扱う大手ギャラリーの営業部長。独身で、海外を忙しく飛び回っている。

家族は、認知症の父と、バイトをしながら父を介護する弟のナナオ。その父のためにやっと居心地の良さそうな施設を見つけた。

 

「マドンナ Madonna」~ラファエロ「大公の聖母」

46歳のあおいは大手画廊勤務。独り暮らしの母は85歳で、最近物忘れがひどくなってきた。海外出張中のあおいに、茶碗が割れたと電話をしてきたりする。

絵に興味などない母。けれど、むかし母の職場のデスクに貼ってあった絵を、あおいは覚えていた。

それは、遠目に見ても普通ではない空気をまとった女性の絵であった。

立ち姿の、美しい女性。赤いドレスに、光沢のある青い衣を肩がけにしている。そして、ふっくらと愛くるしい裸の幼子を両腕に抱いていた。このふたりは母子なのだと、すぐにわかった。

「薔薇色の人生 La vie en rose」~フィンセント・ファン・ゴッホ「ばら」

45歳バツイチ独身の多恵子は、地方のパスポート窓口に勤めている。

窓口に貼られた色紙「La vie en rose」に興味を持った60代の男、御手洗。彼は、祖父がフランスから持ち帰った絵が法外の値で売れたことを、多恵子に語るのだった。

 

「豪奢 Luxe」~アンリ・マティス「豪奢」

20代の紗季は、IT起業家の谷地の愛人として暮らしていた。青山のタワーマンション。身を包むブランド品の数々。けれど、何かが足りなかった。

「色彩の魔術師」と呼ばれた、マティスの初期の作品である。

水辺に集まる三人の女性たち。中心になっているのは、一糸まとわぬ女性像。彼女の凜とした表情、何ものにも屈しない強い面持ち。堂々とした体躯はまぶしく、気高い姿である。海の泡から、たった今、ヴィーナスが誕生したのだ。

「道 La Strada」~東山魁夷「道」

イタリアの大学で教鞭をとっていた翠は、5年前から日本の芸術大学で教授をしている。SNSで人気急上昇中の時の人でもある彼女は、新人芸術家の登竜門とされるコンクールの審査員もしていた。

しかし、彼女の原風景は、兄と過ごした小学生時代にさかのぼる。

さわやかな夏の草原に、一本の道が通っている。まっすぐに、手前から奥へとやがて消えゆく道。どこまでも続く長い道。吹き渡るさわやかな風とあふれんばかりの草いきれまでが感じられる画面に、ふたりは長いこと見入っていた。

一話読むたびに、ネットで調べて絵を観ていった。

もっと読みたくなって、図書館で原田マハのアートをテーマにした短編集を2冊借りてきてしまった。

表紙は、フェルメールの「デルフトの眺望」。

解説は、上白石萌音でした。

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PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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