「これ、何て読むんですか?」
「ああ、これ、『だるま』って読みます」
取材先のイベントで入った珈琲屋での会話だ。
「だるまは9年って、何のことだろう」
珈琲を飲みながら、考えた。店内に飾られた色紙には、こうかかれていた。
桃栗三年 柿八年 だるまは九年 俺は一生
答えは調べる前に出た。ちょうど開いた『日日是好日』の映画パンフレットにあったのだ。印象に残るシーンだった掛け軸の解説だ。
「達磨画(だるまえ)」
達磨大師は、禅宗の開祖と呼ばれる人物。修行のために9年壁に向かって座禅をし、手足が腐ってなくなったと言われる。目が大きいのは自分の心を見据える様。日本では、七転八起の意味もあるとして、無病息災や家内安全、その他祈願するという意味の縁起物となった。
手足を失くすほどのあいだ、無心となっていたということか。
ちなみに、この色紙の言葉は、作家武者小路実篤の創作だそうだ。自分が実るには一生かかるという意味だろう。
何にしたって、実を結ぶまでにはそれなりの年月が必要なのだ。自分が桃なのか栗なのか、はたまた柿なのか、やってみないことにはわからない。
白州町の『台ケ原宿市』の取材に行きました。
ドリップ珈琲でホッと一息。
これがその色紙です。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。