梅サワーを漬けてからひと月経ったので、梅を食べてみた。
甘すぎず、かといって酸っぱすぎず、口のなかでやわらかくとろける。朝食後のヨーグルトと一緒に食べるのにぴったりの美味しさになっていた。
梅サワーは、毎日一杯ずつ飲んでいる。飲むうちに濃い目の方が美味しく感じるようになり、倍に希釈して氷を入れて、ゆっくりと味わうように飲む。
飲むと、毎日の暑さを吹き飛ばしてくれるように、すっきりする。すっぱいものは、疲れているときにいいそうだ。疲れると身体のなかには乳酸が増えるらしい。逆に言えば、乳酸が増えると身体は疲れる。すっぱいものに含まれるクエン酸が、その乳酸を減らす役割をしてくれるそうだ。
さらには、疲れているとすっぱいものが美味しく感じられるとも聞く。人の身体は不思議だ。落ち込んだときにチョコレートを食べたくなったり、ストレスが溜まると辛いものを欲したり、汗をかけばしょっぱいものが欲しくなったり。わたし的には、無性に肉が食べたくなることがあり、それはたぶん、普段野菜中心の生活をしているから、身体がたんぱく質を求めてるのかな、と思っている。
人間は、足りないもの、必要なものを欲するように作られているのだろう。
昔の人は、そういう知恵を生活のなかに生かして暮らしていたのだと思う。
だが、今生きているわたしたちは、どうだろう。知識はあっても、それを感じる身体自体の感度が低くなっているような気がしてならない。
「自分の身体のことは、自分がいちばんよく知っている」
89歳の父はよくそう言うが、それを聞くたびに心配になる。
歳をとると暑い寒いなどの感覚が鈍くなり、気づかないうちに熱中症でなくなるお年寄りが多いというのは数年前から聞く話だ。
お年寄りに限らず、そういう知恵しかない時代を生きてきた人たちよりも、人間の身体は便利な生活に慣れ過ぎて感覚的に退化してる部分があるんじゃないか。
それは勝手に立てたひとつの仮説だが、わたしは、自分の身体のことは自分がいちばんよく知っているとは思わないように気をつけている。家族や友人の言葉、専門家の話を、フラットな心で聞く耳を持っていようと思う。
便利すぎる時代を生きているからこそ、失くしてしまうことも、必要になってくることも、たぶんあるのだ。
朝食後、夫とひとつずつ、食べました。これから毎日楽しめます。
やわらかさも同じくらいで、ヨーグルトにぴったりでした。
きのうの朝ご飯は、前の晩の残りの中華。鶏肉の酢豚風と春雨サラダ。夕食を食べていたら、夫の友人がレタスを持ってきてくれて、急遽レタスも一緒に。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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