レタスと時同じくして、茄子とピーマンをたくさんいただいた。
夫のリクエストに答え、ピーマンの肉詰めにする。赤ワインに合う夕餉だ。
豚ひき肉と剥き海老を叩いたものを混ぜ、ニョクマム&レモンでベトナム風にした。ピーマンの苦味がニョクマムと相性ばっちりだった。
「ピーマンの肉詰め作ったのって、初めてかも知れない」
夫に言うと、
「前にもそう言ってたよ」
と返ってきた。
ほとんど作らないレシピだが、作ったことはあるらしい。手間もかかるし、合いびき肉で作るハンバーグを詰めたものは、この頃ちょっと胃に重くなってきている。ずいぶん前に作ったのだろう。
「忘れちゃってたのかあ。まあ、忘れるのもいいかもね。初めての感動を2度味わえて」
クリームパンのエピソードを思い出した。
以前特急あずさで近くの席に座っていた「新たな発見」をした4歳くらいの男の子のことだ。大人しくパンを食べていたのだが、発見した驚きを母親に伝えたくて、つい声が大きくなったようだ。
「ママ。見て見て、すごいよ! このパン、クリーム入ってる」
クリームパン初体験だったのだろう。
母親は、恥ずかしかったのか「はいはい、そうね」と小声である。しかし母親の態度に、自分の大発見を理解してもらえていないと彼は思い、さらに声高に訴えた。
「すごいんだよ! だって、パンのなかにクリームが入ってるんだよ!」
小さな身体にあふれんばかりの感動を伝えようとしていたっけ。
忘れることは人間の特技だと言ったのは、誰だっけ。それさえももう忘れたが、忘れることも悪くない。クリームパンの感動は、わたしにはもう味わえないだろうけれど。
肉厚なピーマンと、細いけれどやわらかくジューシーな茄子。
ピーマンの肉詰め。横に3つに切りました。
茄子のソテーを、オーブンでチーズ焼きにして。
朝食用のピーマンのきんぴら。
具だくさんのお味噌汁も好きだけれど、茄子の胡麻油炒めオンリーのシンプル味噌汁に茗荷をたっぷりのせるのも大好き。
初物の桃も、ようやく食べました。甘かった!
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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