新婚の頃、手のひらで豆腐を切る、というのに憧れていた。
今朝、久しぶりに手のひらに乗せた豆腐を大き目のさいの目に切り、味噌汁に入れた。難なく普通にできるようになった昔から受け継がれてきた技術だが、まな板で切るより洗い物も減り、何よりそのまま鍋に入れられて合理的。なかなかに今の時代に合っている技なんじゃないかと思っている。
子どもの頃、母はやらないその技を、テレビドラマで観ていたく驚いた。
「わ、危なくないの? 手、切れちゃうんじゃない?」
すると母は、自分の手のひらに包丁をあて、教えてくれた。
「包丁は、押すだけじゃ切れないんだよ」
わたしもやってみると、確かに切れなかった。
理科の実験で新しい発見をして驚いたときのような気分だった。
昔は、いろいろなものに憧れていたものだと、味噌を溶きながら思いを馳せた。
白い食器だけの食卓や、パスタを入れる硝子のポット。赤と白のギンガムチェックが似合うカントリー風のキッチン。ハーブの香る庭。オーブンからはパンを焼く匂い。そんな空間で、家族のために食事を作る自分。
「豆腐は手のひらで切れるようになったけれど、今のわたしは、あの頃憧れた自分とはきっと違ってるんだろうなあ」
憧れの形は、時とともに変化を続けている。
庭に出てきた茗荷を味噌汁の薬味にと刻みながら、1年後の自分は、5年後の自分は、10年後の自分は、と考えた。今のわたしには思いもよらぬ方向へと変化していても、おかしくはない。
豆腐と油揚げ、若芽、なめこの味噌汁には、庭の茗荷をたっぷりのせて。
最近、動物性たんぱく質が登場しない我が家の朝ご飯です。緑の野菜はピーマンのきんぴら。いっぱいいただいたので、どんどん食べています。
でも、きのうのお昼はオムライスにしました。ベーコンも入ってます。
庭のブルーベリーも、食後にたっぷりいただきました。
少しご無沙汰してました。(^^ゞ
手のひらで豆腐を切るっていう技を、私は子供の時に家の周りに来ていた豆腐売りのおっちゃんで見てました。
鐘を鳴らして豆腐を売りに来て、その鐘が聞こえてくると容器を持って外に買いに行かされるんですよ。
で、「きぬ」を買うとおっちゃんは「切っとこか?」って言って切ってくれる。
いやあ、懐かしい光景を思い出せて、嬉しいです。
母はどうやって切っていたか、記憶にありません。(-_-;) たぶんまな板の上?
カントリーのインテリアは私も憧れました。
雑誌を買って研究したり・・・(笑)
今もちょびっとだけその名残はありますが、どんどん変わってきています。
あ、茗荷はさえさんのおっしゃるとおり、今年は無理っぽいです。
小さなのが一つだけ出ましたが食べられるようなものではなかったです。(-_-;)
ユミさん
豆腐売りのおっちゃん、話には聞くんだけど、実際に見たことはありません。
昭和の風情ですよね~
鐘なんですね。ラッパかと思っていました。地域によっても違うのかも知れませんね。
見たかったなあ(笑)
やっぱり好みは、どんどん変わりますよね~
茗荷、来年は食べられるといいですね♩
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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