カンマンボロン登山の帰り、『森のラーメン高須』に寄った。
帰り道にのぼりが立っていて、土日しか営業していないという一風変わったラーメン屋があるのだと夫の友人に聞いていた。以前は甲府で店を営んでいたのだが、引退する年齢になり、土日だけ山奥で店をやることにしたという。
「一風変わった」のひとつに、たどり着くまでの道のりがあった。
のぼりが立った車通りの多い道から、くねくねと細い道を上っていく。両側森に挟まれたような場所も多く、道を間違えたんじゃないかと思う頃に「あと200m」とか「ゴメン、もうちょっと」とか手描きの看板がカーブに立ててあったりする。
ようやく着くと、手作り感満載の木のテーブルや椅子が外に並んでいて、すでにそこで飲んでいるおじさまたちがいて、ログハウス風の建物のなかに薪ストーブのようなものが見える。「ようなもの」とかいたのは、雑然としすぎていて判別が難しいからだ。
店内は、店主が撃ったという熊、猪、山鳥などの剥製が飾られていた。養蜂で蜜をとったらしき蜂の巣もある。蜂の子もメニューのひとつのようだ。
メニューには、ジビエがある。鹿や猪肉単品もあるし、ラーメンにも鹿チャーシューが載っている。山でおむすびを2つ食べていたので、ラーメンと餃子を頼み、夫とシェアすることにした。
ジビエというワードと店の雰囲気から味の濃いこってりしたものを想像していたが、しかし煮干し出汁のちぢれ細麺、あっさりしたラーメンだった。
どれもこれもが、一風変わっている。おもしろい。
「楽しんでやってる感じが、いいんですよ」
夫の友人が、言った。
なるほど、その通り。がむしゃらに働く年齢を通り過ぎ、今は思いっきり好きなことを好きなようにやっている。それが、一風変わったようにも見え、人生を、今を満喫しているようにも、また見えるのだった。
ここにたどり着くまでが、ほんとにラーメン屋さん、あるの? と誰もが思うような道のりでした。
ログハウス風の建物のお店です。家も何もかも手作りっぽい雰囲気。
山菜餃子。ちょっと変わった風味です。ジビエかな?
ラーメンは煮干しが効いたあっさり醤油味。鹿チャーシューと豚チャーシュー、両方載っています。
店内はこんな感じ。熊の剥製に負けないくらいの存在感がある瓢箪たち。
猪もいました。鳥も何羽か、剥製が飾られていました。みな、ご主人が撃ったものだそうです。(友人談)
薪ストーブなのか、囲炉裏なのか。
☆『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ、更新しました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。