北杜市産の苺を、いただいた。
こんなにくっきりとした美味しさの苺は、初めて食べた。ほどよい甘さと酸味とか、バランスがとれた味わいとか、瑞々しさとか熟れ具合とか、そんなところは当然クリアしていて、口に入れるたび、明確な美味しさがストレートに飛びこんできて驚く。
苺は、特別に好きなフルーツだ。
そこにはたぶん、子供の頃に抱いたイメージが関係してくるように思う。
『不思議の国のアリス』のお茶会のテーブルに並べられたケーキにのった大きくて真っ赤な苺や、『赤毛のアン』が、ダイアナに振る舞ったイチゴ水(間違えて葡萄酒を飲ませてしまい、大騒動になる)、はたまた、そのお茶会の雰囲気のなかにある苺。
さらにお菓子作りにハマった高校の頃に知った、甘みを抑えたビスケット生地を使うアメリカ風ストロベリーショートケーキに対する憧れ。
そんなものが、ない交ぜになっている。
大人になって知ったのは、クリスマスケーキに間に合うよう、苺農家さんが季節をずらして12月に採れるよう栽培していること。
英語の「ストロベリー」は、藁を敷いた栽培法から名づけられた「strawストロー(藁)」+「berryベリー(木の実)」だということ。
また、漢字の「苺」は、ひとつの株にたくさんの実をつけることから、多くの子を産みだす「母」の字が当てられたということ。
どれもちっとも、お洒落でも可愛くもない。
それでも長い年月を過ごした今も、その頃胸に抱いたイメージや憧れは、そう簡単には消えることがないらしい。苺は、特別なフルーツなのだ。
先に食べた小粒の苺。食べ始めてから写真を撮ったので、もっとありました。
大粒の方は、5粒だけ。だからといって大味ということもなく、最後の1個を巡って夫婦げんかに(笑)
こんばんは。(*^-^*)
祖父が苺を栽培していたので苺の思い出はたくさんあります。
旬になると毎週のように送ってきてくれるので
食べきれないものは一年間分のイチゴジャムになっていました。
正直に言うと、苺はあって当たり前、ありがたい存在ではありませんでした。
お金を払って苺を買う今、苺は祖父の汗の結晶のようなものだと思うようになりました。
毎年旬が終わるころ、路地の苺畑を開放して食べ放題、摘み放題にしてくれた日は
従姉妹たちとこぞって摘むのが楽しみでした。
食べることも、誰よりもより大きな苺を探し出し、優越感に浸るためでした。(笑)
今の苺は品種改良もすすみ、次々と新しい品種が出てきますね。
最後の1個を巡って、勝ったのはどちらでしょうか?
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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