家から車を走らせて、まず見える山は、南アルプス連峰の甲斐駒ケ岳だ。
「ああ、甲斐駒、綺麗。気持ちよく晴れてるなあ」
そう思いながら定点観測地点で右を向くと、八ヶ岳のわずか上に雲が重く広がった空が見えた。
「あ、こっちは曇ってるんだ」
そのまま坂を下り、富士山方向に向かう。
手話教室に行く朝で、その道々富士山はそこここに見えるのだ。
だがその朝、富士山は見えなかった。
すっぽり雲に覆われていた。
けれどその雲から太陽の光が漏れている。
その光を見て、あ、富士山、と思う。ほっと気持ちが明るくなる。
見えないけれど、そこに富士山があることは知っている。それだけで雲の広がった風景が違って見えてくる。
見えないけれどそこにあるものは、富士山じゃなくてもたくさんある。
たとえばカーテンの向こうの林の木洩れ日や、土鍋のなかで揺れているお米や、そのほかにも遠くに住む家族や、友人との明日の約束なんかも。
そんなものたちが、広がる雲の向こうにあわあわと浮いては消えていった。
まっすぐ坂道を下りながら見えてくる風景です。
微かに雪をのせた南アルプス連峰甲斐駒ケ岳。
右を向くと、八ヶ岳。空には雲が広がっていました。
最高峰赤岳。
並んで高さを誇る権現岳。
手話教室に行く途中のこの道の先には、富士山があるはず。
こんにちわ
たれこめる雲と峰々の景色。
雄大で神秘的ですね。
その先には、富士山があるはず。
そう思って走る、ドライブも素敵ですね!
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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