「やまめ」と読むのだとばかり思っていたが「やまおんな」だった。
湊かなえの連作長編『山女日記』である。
そして、黒かと思っていたら、白だった。完璧な白湊かなえだ。こんなに読後感が爽やかな彼女の小説は読んだことがない。
それぞれに思いを抱え、山を登る女たちの物語。
【妙高山】
百貨店に勤めるアラサー女子二人(結婚に悩む律子と、不倫に悩む由美)の初めての山。
【火打山】
お見合いパーティーで出会った神崎は、美津子に登山靴を贈った。
真っ青な水面に映っているのは、火打山の頂だ。
「あそこを目指すんですね」
言いながら、笑ってしまった。神崎さんが眉をひそめる。
「上を目指すのに、下を見ながら言うのって、おかしいと思いませんか?」
「なるほど。でも、目的地は過去の中にあるのかもしれません」
【槍ヶ岳】
槍の頂上を目指すのは3度目。今度こそとひとり登るしのぶに、思いがけず同行者ができてしまう。
【利尻山】
雨女を自嘲する希美は、自分をさげすみ口うるさく言う姉とともに、雨のなか利尻山を登る。
【白馬岳】
雨女の妹と、それに負けない晴れ女の小5の娘七花を連れ、晴れた空の下姉は心に重いものを抱えながらも懸命に白馬を登る。
【金時山】
バレーで日本一になれなかった自分の過去にこだわり、富士山に登りたいと強情なまでに言いつのった舞子の初登山は標高1,212mの金時山だった。
「舞ちゃんの頭には、富士山は日本一っていう文字とか、三七七六メートルっていう数字でしか存在してなかったんじゃないかな」
【トンガリロ】(ニュージーランド)
ツアー旅行より断然自由旅行派の吉田くんと登った思い出の地に、柚月はひとり足を運ぶ。
【カラフェスに行こう】
山にハマった希美は、ひとり黙々と登ってきたが、山仲間が欲しくなり涸沢フェスティバルへと向かった。
山は考え事をするのにちょうどいい。同行者がいても、一列で黙って歩いていると、自分の世界に入り込む。そこで自然と頭の中に浮き上がってくるのは、その時に心の大半を占めている問題だ。自分の足で一歩一歩進んでいると、人生だって、自分の足で進んでいかなければならないものだと、日常生活の中で目を逸らしていた問題についても、まっすぐ向き合わなければならないような気がしてくる。
じつは、この小説、敬遠していた。章ごとに山の名がある。読むにはわたしには山の知識がなさすぎる。そう思った。だが、そんなものいらなかった。だいたい出てくる山ガールもガールじゃない人も初心者が多く、経験者もまた同じく悩みを抱えるヒトだった。
ちなみにタイトルは、小説のなかで登場する架空の山ガールwebサイトの名だ。そのサイトを彼女たちはそれぞれ見ていたのだが、検索したらドラマがヒットしただけだった。
帯がないと淋しいよ~本屋さん何とかして。
登ってみたくなったりは、うーん、どうかな。
目次ページにあった地図です。
やまおんなだったのですね。
このドラマ見ていました。
工藤夕貴さんが主役でした。
面白かったです、山は秋田の駒ケ岳に一度夏に登っただけの私には未知の事ばかりでした。
トンガリロ 面白い名前!
山は考え事をするのにちょうどいい 東京に住む友人夫婦も同じ事を言っていました。
私には高い山は無理だけど、楽な山なら登ってみたい気がしました。
hanamomoさん
でしょう?やまめって読んじゃいますよね。
わたしはドラマ見てないんですが、サイトを見ると主役は柚月みたいですね。
ほかの登場人物もずいぶん変わっているみたいだし、また別の物語になっているんだろうなあ。
見てみたいです。
わたしも、山のことは何も知らなくて。でも、小説は楽しめました~♩
トンガリロ、海外の名前っておもしろいですよね~
わたしは運転中ひとりでよく考え事をするので、なんとなくわかります。
同じく体力に見合う(笑)山なら登りたいです。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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